【2018年・本屋大賞特集!】

こんにちは、三松文庫です。

 

 

『2018年・本屋大賞』のノミネート作品が発表されていましたね!

本屋大賞とは全国の書店員が選んだ、今いちばん!売りたい本でして

過去には『蜜蜂と遠雷』や『舟を編む』などが大賞をとっています。

 

 

今回hontopiaでは本屋大賞に合わせて、様々なライターが

大賞発表の4/10までにノミネートされた10作品を紹介していく特集を行います。

 

 

「読んでみたいから少し参考に!」「読んでみたけどhontopiaライターはどんなことを感じたんだろう?」などなど

読前や読後にぜひお楽しみください^^

 

ノミネート作品はこちら▼

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特集記事(順次更新していきます)▼

第一回 ゴッホを求めて【たゆえども沈まず/原田マハ】 byメガネ男

第二回 【騙し絵の牙/塩田 武士】 by三田稔

第三回 今を闘っている子ども達に【かがみの孤城/辻村 深月】 by太田さとし

第四回 【盤上の向日葵/柚月 裕子】 byあかまつのりき

第五回 【屍人荘の殺人】byめがね男

第六回 【キラキラ共和国/小川糸】byとみー

第七回 【崩れる脳を抱きしめて】byあかまつのりき

第八回 【AX/伊坂幸太郎】by三田稔

第九回 【星の子/今村夏子】byあかまつのりき

第十回 【百貨の魔法/村山早紀】by太田さとし

本屋大賞公式サイト▼

https://www.hontai.or.jp/index.html

 

あえて遠回りしてみる面白さ。【発酵文化人類学】【田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」】

みなさん、おいしいものは好きですか?

 


人それぞれおいしいと感じるものは違うとは思うのですが、たぶん、みなさんおいしいと感じるものは好きですよね。

 


ランチ、ディナー、デザート...なにかを食べようと思ったら、おいしいものを選んで食べる。
それは、栄養なんかに関しても同様で、同じ見た目、食感、味のもので、栄養価が低いものと栄養価が高いものがあれば、より栄養価の高いものを選んで食べる。

 


それらの選択にはある種の合理性があって、さまざまな情報が手軽に得られる現代では、そうした合理的な選択をすることは、自然なことだと思います。

 

 

そういった合理的選択がしやすく、効率的であることが良しとされることが多い社会、あるいは分野において、あえて不合理を追求し、そこに面白みを見つけながら生活する。

 

 

鳥取県で天然酵母を使用したパン屋「タルマーリー」の店主・渡邉格さんと「発酵デザイナー」として知られている小倉ヒラクさんが昨年の7月(めっちゃ前の話ですいません)に行ったトークイベント
「『発酵文化人類学』&『腐る経済_文庫』出版記念の発酵トーク!【タルマーリーのひみつ】小倉ヒラク×渡邉格」に参加させていただける機会があったので、トークを聞いてきました。

 

 


トークイベントは「発酵」をテーマに渡邉さんと小倉さんのお二人がトークするというもので、天然酵母やパンについて学べるのはもちろんのこと、働くことや社会など、生き方についても考えさせられるような内容でした。

 

 


天然酵母と純粋培養酵母の違いをそれぞれ「遊び人」、「エリート」に例えて、天然酵母が、いかに世話の焼ける酵母で面倒をしっかり見ていなければならないものであるかとの説明は、非常にわかりやすく、酵母に無知であった僕の頭にもすっと入ってきました。
天然酵母を使用して作ったパンは、そうした「遊び人」としての特長があるため、日によって味に波があり、中には店頭に出せないほどにまずいパンができてしまうこともあるそうです。

 

 


純粋培養酵母を使用して作った、市販のパンは常に均一の味を保つことはできるけども、そうなると人は舌を働かせなくなってくる―
失敗を繰り返して、たまに最高の味に出会えるというのが天然酵母の魅力であり、天然酵母で作るパンだけでなく、クラフトビールなどにも魅力もそこにあると渡邉さんは言います。

 

 

天然酵母のそうした特長のために、発酵の状況の確認など、面倒を見なければならない時間が増え、仕事とプライベートな時間があいまいになることも多いそうです。
しかし、渡邉さんにとっては、それ自体も自身が選んだ働き方で、面白さを感じているため、自分の場合は長時間労働=悪とは言えないと笑っていました。
長時間、短時間などもそうですが、自分の納得できる働き方であることが重要なことなのかもしれません。

 

 


科学至上主義が進んでいき、労働というものが画一化しかねず、面白みが持てなくなっている現代において、
あえて、あいまいで正解のないもの―渡邉さんにとってはそれが天然酵母であったわけですが、それを追求することで、面白みを見出すような生き方を、お二人の「発酵」をめぐるトークの中で見つけられたように感じます。

 

 


「発酵文化人類学」、「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』」。この日買って帰りました。
両書籍のとも非常に面白く、お二人トークセッションで話されていた内容の一端についても感じ取れるような内容になっていると思います。

 

発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

 

 

(文/とみー、編/三松文庫)

【ねこ背は治る!-知るだけで体が改善する「4つの意識」】

こんにちは、

センチメンタリストあかまつです。

 

 

今日は『読書妄想文』を書こうと思う。

そもそも読書妄想文ってなんだ?そんなもの私も知らない。 

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“天才になれなかった全ての人へ”-持たざる者と持つ者の葛藤と苦悩の漫画-【左ききのエレン】

“才能”とはなんなのか。
考えることがあります。

 

 


例えば、勉強については、人よりも少ない勉強量で、人並み以上にいい成績をとってしまうような人物を“才能のある人物”というのかもしれません。

 

 


しかし、一方では人並み以上に努力して、人より好成績を収める人についても、

“努力することができる才能を持つ人物”と言われることもありますよね。

 

 


たぶん、一口に“才能”といっても様々なものがあるわけで、
「なんの才能もない人なんていない」なんてことも言えるのかもしれませんし、

「才能がなければ生きていくことができない」なんてこともないのかもしれません。

 

 


“才能”について、辞書に書いてあるような、明確な答えを求めているわけではないのですが、
「“何らかの才能”に出会って、圧倒されたい」といった願望が、いつも私の胸の中にはあるように思います。

 

 


今回ご紹介するのは、

広告業界に勤務していた経験のある著者が描いた、アート、広告業界が舞台の、そんな“才能”あるいは“天才”をテーマにした漫画です。

 

 


“天才になれなかった全ての人へ”
タイトルでも使用させていただいた、このキャッチに惹かれました。

 

 

左ききのエレン 1 (ジャンプコミックス)

左ききのエレン 1 (ジャンプコミックス)

 

 

  

主人公の朝倉光一は26歳。現在、広告代理店でデザイナーの卵として、いつか“キラキラした何か”になりたいと思い、自分なりに努力し、悪戦苦闘しながら、働いています。

 

 

物語は、その現在と光一にとって人生の大きなターニングポイントとなった、表題にもなっている、絵の才能にあふれる天才「エレン」とが初めて出会った高校三年生の時代とを行き来しながら進んでいきます。

 

 


本書を読んでいると、アートやデザインの世界における“才能”とはあいまいなようで、残酷なほどにわかりやすく、“持つ者”と“持たざる者”との差が、いかに明確な結果となって反映されるのかを考えさせられました。
持たざる者は向上心を持ちながらも、上手くいかず、自尊心ばかりが肥大する。
持つ者は、持ってしまっていることで、それが一種の呪いとなり、自身の才能に縛られる。

 


光一とエレンという、対極とも言える二人を通じて、その葛藤や苦悩が丁寧に描き出されています。
脇を固める登場人物らも非常に魅力的で、その全員が本気で真剣、本作品の熱さを支えています。

 


私自身、一人の社会人として、心に響く名言も多く、一つ一つの言葉が熱く、重く心に突き刺さりました。
また、心に響く名言だけでなく、パッと聞くと、かっこよく聞こえる言葉でも、立場や状況によって、白々しく陳腐なものになりうるような、一般的に名言と呼ばれるものに対するアンチテーゼが作品に含まれているのも面白みの一つだと思います。

 

 


本書はウェブ漫画として、配信されてたものがリメイクされて、現在、少年ジャンプ+で配信されているので、気軽にスマートフォンでも読めます。
少年漫画だけど、大人向け。
まさにそうした漫画の代表かと。

 


実は、リメイク前の本作品については、すでに完結しています。
もし、リメイク後の本作品を読んで、先が気になりすぎるようであれば、有料ではありますがそちらを読んでみるのもいいのではないでしょうか。

 

(文/三田稔)

共感できるサンタさん【さむがりやのサンタ】

今回《メガネ男》が紹介する本は絵本です。
タイトルは「さむがりやのサンタ」。

 

さむがりやのサンタ (世界傑作絵本シリーズ)

さむがりやのサンタ (世界傑作絵本シリーズ)

  • 作者: レイモンド・ブリッグズ,さむがりやのサンタ,すがはらひろくに
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 1974/10/25
  • メディア: ハードカバー
  • 購入: 6人 クリック: 38回
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 タイトルを見てさっそく、
サンタさんとして致命的な弱点があるなと思いました。
サンタさんがさむがりだなんて大丈夫かな?笑

 

 

物語はサンタさんが、クリスマスイヴ、
そして朝起きて配達を終えてから寝るまでの行動を
コマ分けされた絵で描かれています。

 

 

今回描かれているサンタさんの特徴は
とっても「人間らしい」ということ。
聖者という感じではなかったです。

 


僕達がしんどいと感じることは
サンタさんもしんどいと感じていて、
その様子が描かれています。

 

 

例えば朝起きること、大雪の中の移動、
狭い煙突潜り、差し入れがしょぼいなど、
僕たちが普段愚痴をこぼすようなポイントで
人並みに愚痴をこぼしています。

 

 

ただし、さすがサンタさん。

 

 

愚痴をこぼしながらも
責任ある仕事として淡々と、
そして立派にやり遂げていました。

 

 

仕事を終えた後の軽い晩酌も幸せそう。

 

 

たくさんサンタさんに共感できて、
なおかつやっぱりサンタさんって優しいなと
感じられる素敵な絵本でした。

 

 

さむがりのサンタさんは
どんなことを考えているのか
ぜひ読んでみてください。

葛飾北斎と僕。【北斎とジャポニズム_HOKUSAIが西洋に与えた衝撃】

どうも、大晦日は鹿児島の実家で家族と過ごす、とみーです!

 

 

突然なんですが、僕はアートが好きで、休みの日には美術館めぐりや近代建築を見に行ったりとかしながら、過ごすことも多いんですね。
目で見て、その美しさや芸術性に感動するだけでなく、作品を通してさまざまなことに思いを馳せるのが好きです。

 

 

こないだ所用で、東京に行く機会がありまして、時間があったので、国立西洋美術館で「北斎とジャポニズム_HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」展を見てきました。

今回はその展覧会について紹介したいと思います。

 

hokusai-japonisme.jp

 

たぶん、みなさん、歴史の教科書なんかで「葛飾北斎」の名前は聞いたことがあると思うんですけど、意外に、彼の人柄であったりとか、その生涯については知らない人も多いのではないでしょうか?

 

 

実は、僕もその一人でして、今回めっちゃ勉強してきました(笑)
ぜひ、紹介させてください!!!(さすがに全部は無理ですが...悔しい)

 

 

北斎が絵を描き始めたのは、6歳からでした。それから90歳でその生涯を閉じるまで、彼の人生は絵とともににありました。
あの有名な「富嶽三十六景」は、彼が70歳のころの作品です。

 

 

その生涯で、数多くの素晴らしい絵を遺した北斎ですが、80歳のころには、自身の娘に向かって、涙を流しながら「私は猫の絵一枚ですら、満足に描くことができない」と言うほどに、絵に対してストイックでした。

 

 

死の間際、「あと10年、いや、あと5年あれば、生きていると見紛うほどの『本物の絵』を描くことができるのに...」と言い残したそうです。

かっこいい...

 

 

北斎の絵にはたくさんの特徴があるそうなのですが、ここではその中でも僕が印象に残った2つを紹介したいと思います。

 

 

1つは「インパクトのある構図」です!
北斎は、色彩のある絵画を描く以前、当時で言うところの小説の挿絵を描いていました。
当時の小説の挿絵と言えば、白黒が基本で、いかに大胆な構図で人の目を引くかが、重要でした。
北斎も、それを意識して、こだわったことで、構図に関する技術を身につけたといいます。
そうして身に着けた、素晴らしい構図の技術にカラフルな色がつくことで、より作品の完成度が増し、広く当時の民衆にも受け入れられるようになったんですね。

 

 

2つ目は「アンテナの広さ」です!
北斎は自分の殻に閉じこもることなく、古今東西さまざまな絵画の技法を研究し、習得しました。
中国の絵画を研究して、自身の作品に取り入れたり、自身が触れて「いいな」と感じた作品があれば、すぐに描いてみたりしました。
そして、そこからオリジナル技法や作品を生み出そうと努力しました。
広いアンテナを持つことで、彼の作品は進化を続けていったわけです。

 

 

以上で、北斎の絵については終わりなんですけど、人柄も独特で素敵なんですよね~。

 

 

創作意欲を保つために、90回以上引越しをしたりとか、部屋は散らかり放題であったりなんかは、まだ序の口で、
売れっ子絵師であるにも関わらず、お金に無頓着であるがゆえに、お金が全然なくて、困っている時期なんかもあったんですよ。
それも含めて、僕は北斎の魅力であるように感じています。

 

 

葛飾北斎の絵の魅力だけでなく、その人柄も深く学べた展示会。
僕は、北斎にはなれないけれど、その生き方から学べることは多く、今回の展覧会は確実に僕の生き方にも影響を与えたように思います。

 

 

ぜひ、みなさんもこの展覧会に行く機会があれば、北斎の絵を通して、北斎の生き方やその思いの一端に触れてみてほしい。
そんな風に思います。

 

 

とかなんとか、まじめな話をしましたが、今日は大晦日ですね。
1年も終わり。
来年も、「とみー」ともども、「hontopia」をよろしくお願いいたします。

よいお年を。

 

 

(文/とみー、編/三松文庫)