三松文庫放浪記~岡山の本屋を巡る~
楽しかった宇野に別れを告げ、バスに揺られながら
岡山に到着した三松文庫店主・あかまつ、仕入れ担当・三田、そして、今回の旅をコーディネートしてくれている杉原くん。
さあ、これからの時間は岡山の本屋巡りだ!
ということで、杉原くんの紹介のもと
岡山市内の本屋巡りを行うことになった、あかまつと三田。
まずは、岡山駅から近い美術書専門の古書店「月吠文庫」(げっぽうぶんこ)さんへ向かいます。
月に吠えると書いて月吠。
行く前から、その名前の語感の格好良さに踊る心を抑えきれません!
店内入ると所狭しと広がる美術関連本の数々。
店内には、店主さんのほか市内でギャラリーを営む常連の方もいらっしゃり、小1時間ほど話し込むことに。
お茶のほか、コーヒー、お菓子などもご馳走になってしまい、その優しさに触れたことが、感謝の言葉では足りないくらいに嬉しかったです。
店主さんの美術品の収集についてのこだわりや、自宅に置かれている蔵書の数々、岡山出身の美術作家さんについてなど、たくさんのお話を聞かせてもらいました。
店主さんは長年、美術月報に登場する作家さんをカードにメモして保存しているらしく、資料収集に対するひたむきさと情熱に胸が熱くなります。
また、店主さんの美術品コレクションは、月替わりで入れ替えながら店内で陳列されており、行くたびに違ったコレクションが見られるかもしれないのもすごく魅力的でした。
常連の方も、みなさん美術への造詣の深い方ばかりで、美術作家や作品についてたくさんのことを勉強させてもらったほか、新鮮な驚きが多々あって、ワクワクしているうちに、あっという間に時間が過ぎていました。
名残惜しい気持ちを引きずりながら、一行は次の目的地へ。
杉原くんの彼女さんが、ここの店主さんと顔見知りという「スロウな本屋」さんへと向かいます。
「月吠文庫」さんからは比較的近く、ワクワクの余韻もあってか、自然と足取りも軽くなります。
しかし…
残念ながら、この日に限って16時に閉店という不運。
自分たちのツキのなさに地団駄を踏みながらも、次回はリベンジしようと心に決める三松文庫です。
ぜひ、みなさんはネットであらかじめ開店時間を調べてから、足をお運びください。
気を取り直して、また次の本屋さんに足を運びます。
次に足を運んだのは大学町にある古本屋「ながいひる」さん。
「月吠文庫」さんや「スロウな本屋」さんのある場所から、大学町は少し離れているんですが、運動がてら徒歩で向かいました。
その結果、かなりの時間がかかったのは否めません。
「少し」じゃなく「かなり」離れていました。
岡山駅から路面電車で行くことをおすすめします(笑)。
アジア関連の雑貨屋さんがあるビルの二階に「ながいひる」さんはあります。
店外には100円均一コーナーも。
掘り出しものもあるかも!
さっそく店内に入ると、なんと三松文庫のソウル・ドリンク「ビール」が!
キリン一番搾りの黒ビールで乾杯させてもらいます。
店主のキムラさんの好きな作家は、町田康さんなんだそうで、店内にも町田康さんの作品が何冊か並んでいます。
町田康さんは現役のミュージシャンでもあるんですが、作品内における言葉の言い回しが好きなんだとか。
そのほか、店内の書籍やビデオ、レコードなどには、開店当時からそのままのものもあり、中には、家にあったものから持ってきたものなんかもあるそうです。
そうしたラインナップが店内の雰囲気にいい感じにマッチしていて、すごく心地のよい空間を作り出しています。
「ながいひる」さんでは、定期的に「古本酒場」というイベントを開催していたり、ライブなんかも行われることもあるんだとか。
たまたま、今回三松文庫が来店した日は、「古本酒場」の日だったのですが、時間の都合上、足を運べず…
次こそは絶対にリベンジしたいです。
「ながいひる」さんで、ステキな本とステキなビールとステキな空間を堪能した後は、
近くに個人の趣味で発行する雑誌、いわゆる「ZINE」を置いているお店があるという情報を店主のキムラさんから仕入れていたこともあり、さっそく、そのお店「OF」に向かいます。
普通のアパートの5階の一室にある「OF」。
なかなか見つけることができず、周辺を不審者のようにウロウロしてしまいまったのは良い思い出です(笑)。
そんな珍道中だったわけですが、今回「OF」を訪問した日は、2人の作家さんによる個展が開催されていました。
白を基調とした空間には、作家さんの各種作品が並んでいます。
店内は独特の空気感があって、とてもアートな雰囲気。
店主さんから作家さんの作品についてのお話を伺ったり、無料のZINEをいただいたりと、アートな雰囲気を満喫させていただきました。
「OF」でアートな空間を満喫した後は、杉原くんのお誘いもあって
多目的空間「晴れ間」でのお誕生日会に参加させていただきました。
はじめましての三田を、みなさん非常に暖かく迎えてくれたのがうれしかったです。
そのアットホーム感に感動しつつ、カニ鍋のご相伴にもあずかり
ビールに焼酎をどんどん飲みながら、心も体もたっぷり満たされた忘れられない一夜でした。
今回の旅をコーディネートしてくれた杉原くん、唐突な訪問にも関わらず、きさくに話してくださった「月吼文庫」さん、「ながいひる」さん、「OF」さん、「晴れ間」のみなさん、素敵な時間を本当にありがとうございました。
(文/三田稔/ライター)