『三行文庫vol.8』【驚きたい×ミステリー】

ステキな3人が毎回「気分×テーマ」に沿った本を紹介。
ステキな3冊を3行でー

 

「三行文庫」

 

第2、第4水曜日更新。

 

 

 

宝島社が発行する

「この○○がすごい!」シリーズの中でも、さきがけともいえる

「このミステリーがすごい!」略して「このミス」。

 

その2019年版が12月11日に発行されます。

ちなみに今年は30周年の節目の年だそうで、掲載内容は、2018年の国内&海外新作ミステリー小説ランキング・ベスト20などなど。

 

10月1日には、

第17回「このミス」大賞も発表されていますし、受賞作品の書籍化も待ち遠しいですね。

 

 

第18回の「このミス」大賞から新設予定であった「U-NEXT・カンテレ賞」を、今回さきがけてサプライズ受賞した、

登美丘丈氏が描く

「その男、女衒」

は実写ドラマ化も決まっており、注目かと思っています。

 

 

 

というわけで、今回も世相に便乗して(笑)、

「驚きたい」ときにピッタリの「ミステリー」本のおすすめ3冊を紹介します。

 


今回はご縁あって、以前からお世話になっている、
学習支援団体「CHANCE」代表の神崎さんからもおすすめの一冊を伺いました。

選書の中には、現在の2018年から大きく遡り、1980年発表の作品なんてものもありますが、

神崎さんの選書も含め、どれもオススメされるのが納得の良作ばかりだと思いますので、ぜひ。

 

 

 

 

(1)神崎竜太(塾講師。学習支援団体「CHANCE」代表)

 

〇 マジックミラー(著/有栖川有栖)

新装版 マジックミラー (講談社文庫)

新装版 マジックミラー (講談社文庫)

 

 (あらすじ/「BOOK」データベースより引用)
琵琶湖に近い余呉湖畔で女性の死体が発見された。殺害時刻に彼女の夫は博多、双子の弟は酒田にいてアリバイは完璧。しかし兄弟を疑う被害者の妹は推理作家の空知とともに探偵に調査を依頼する。そして謎めく第二の殺人が…。犯人が作り出した驚愕のトリックとは?有栖川作品の原点ともいえる傑作長編。

 


・双子ならではのアリバイ作り、殺害方法。

 

・マジックミラーのように自分からは見えない。相手からしか見えない。自分からしか見えない。相手からは見えない。一方通行な感情が行き交う本格ミステリ。

 

・時刻表とか推理の材料をがっつり載せてきて「解いてみろ!」みたいな挑戦的な空気を醸しだしてるのが好きです。

 

 

 

 

(2)あかまつのりき(三松文庫店主兼「hontopia」編集長)

 

〇 葉桜の季節に君を想うということ(著/歌野昌午)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

 

 (あらすじ/「BOOK」データベースより引用)
「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。

 

 

・ハードボイルドな探偵役が紡ぐ、謎と恋愛の物語。

 

・「そんなのアリかよ!?」とラストに叫ぶこと間違いなし。


・人生の黄金時代は老いていく将来にあり、過ぎ去った若年無知の時代にあるにあらず。林語堂

 

 

 

 

(3)三田稔(「hontopia」副編集長兼ライター)

 

〇 薔薇の名前(著/ウンベルト・エーコ)

薔薇の名前〈上〉

薔薇の名前〈上〉

 
薔薇の名前〈下〉

薔薇の名前〈下〉

 

 (あらすじ/「BOOK」データベースより引用)
迷宮構造をもつ文書館を備えた、中世北イタリアの僧院で「ヨハネの黙示録」に従った連続殺人事件が。バスカヴィルのウィリアム修道士が事件の陰には一冊の書物の存在があることを探り出したが…。精緻な推理小説の中に碩学エーコがしかけた知のたくらみ。

 

 

・1327年の北イタリア、カトリック教会が舞台ということもあって、読み進めるごとに、当時の社会の様子や聖書、キリスト教的な宗教感などについての知識が増える気がする。あくまでそんな気がする。

 

・時代背景、風習、そういった周辺要素をフルに活用した本格推理小説という印象。ミステリマニアからも評価の高い作品。

 

・論理を軸に推理して、鮮やかに謎を解決する。名探偵ってやつは神とは相入れないのかもしれない。

 

 

 

(編/「hontopia」編集部)

三松文庫放浪記~滑川BOOK CAMP編~

こんにちは!
三松文庫あかまつです。

 

 

先日、愛媛県東温市で行われた『滑川BOOK CAMP』に参加してきました。
今回はなんと5人で出店するという大所帯。ドライバー三田くんはHELPの後輩を乗せて高松から車で、あかまつは広島からフェリーで向かいます。

さらにあかまつは開始時間ぎりぎりに集合するというお騒がせ具合。はた迷惑な集団です。


イベント開催場所の滑川(なめがわ)は愛媛県東温市にある地域で、森と川がきれいな自然豊かな土地です。

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川辺では子ども達が楽しそうに遊んでいて、夏に来ると川に入って遊べるのでもっと楽しいだろうな、僕も遊びたいなとうらやましくなりました。木々もいい感じに色づいていて秋を感じさせてくれます。

 

 

今回の滑川BOOK CAMPは「森の中で本を楽しむ日曜日」がテーマのイベント

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思ってた以上にTHE自然!という感じで、携帯が圏外になったのは少し驚きました。圏外のおかげで、テーマ通りに森の中で本だけに集中することが出来ました。


さすがBOOK CAMPというだけあって、屋外にはテントが張ってあり、その中で買った本やレンタル本を読むことが出来ます。

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インドア趣味の代表格の読書とアウトドアのキャンプの融合とでもいいましょうか、精神衛生的にとってもいい気がしました笑

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後輩たちが帰ってこないなぁと思っているとテントの中でさぼる姿を発見。 イベントを最大限楽しんでやがる。


今回のイベントで僕が一番驚いたことは「家族連れの多さ」。
絵本の読み聞かせ、絵本レンタル、手作りワークショップなど子どもも楽しめるコンテンツが盛り込んであり、会場中に子ども達の楽しそうな声が聞こえてきました。

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地域の人に愛されるイベントという感じがして、こういう年代にとらわれず開かれたイベントが地域イベントの醍醐味だよなぁと実感します。


三松文庫はいつものように出店ブースでお客様と楽しくお話です。

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土地柄なのか愛媛の方ってみんな優しくないですか?
どのお客様も僕たちのふざけたトークを楽しそうに聞いてくださった気がします。たくさん話しながら好きな本をおすすめしたので、気に入ってもらえると嬉しいなぁ。


お久しぶりの「本の轍」さん、「ゆるやか文庫」さん、「浮雲書店」さんにも出会えました*

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そのほかにも愛媛で本屋をされている「蛙軒(げろけん)」さん、「読×舎(よみかけしゃ)」さん、岡山の古本屋さんの「451BOOKS」さんなど今回も素敵な出会いがたくさんありました。


本ブース以外にも飲食店舗も魅力的なお店が。

f:id:hontopia:20181123101908j:plainいちごスムージーはいちごの味がはっきりしていて美味しかった~。カップも可愛くインスタ映え男子の後輩が喜んでました(笑)

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東温市の美味しいものがつまったお弁当やカレーは即完売。あかまつも三田も食べられなかったことがこのイベント唯一の後悔です…!


そうこうしているといつの間にか日も暮れて肌寒くなり、終わりの時間を迎えていました。秋のものさびしさとイベント終わりの切なさが心に染みてきましたが、それよりも楽しかったという満足感でいっぱいです。


テーマ通り森の中で本当に充実した一日を過ごすことが出来ました。運営スタッフ様、このような素敵なイベントを企画してくださりありがとうございました!また遊びに来たいです。
今回出会えたお客様、読書の秋を楽しんでくださいね。


終わり。




東温市には不思議な魅力があり、三田くんは帰りの車の中で「東温市から離れられん、東温市から離れられん」と狂ったように呟いてましたとさ。また行きたいなぁ。

 

 

(文/あかまつのりき/三松文庫店主)

『三行文庫vol.7』【秋に読みたい×屋外】

ステキな3人が毎回「気分×テーマ」に沿った本を紹介。

ステキな3冊を3行でー

 

「三行文庫」

 

第2、第4水曜日更新。

 

 

もう今週末のお話になってしまって恐縮ですが、
11月18日に、愛媛県東温市(松山市の隣)で開催される

 「滑川 BOOK CAMP」

toon-box.com

 に、ご縁あって「三松文庫」が出店させていただきます。

 

東温市のキャンプ場・なめがわ清流の森で開催されるこのイベント。

 

デイキャンプをしながら、本とおいしいものを楽しめるイベントということで、
キャンプもおいしいものも、もちろん本も全部大好きな「三松文庫」としては、
とても楽しみにしていて、決まった日からワクワクドキドキしています!

 

 

森の中で本を楽しむ特別企画として

「なめがわの森で読み聞かせ」

岡山の451BOOKSの根木さんが講師をしてくださる

「大人のための絵本講座」

といった催しもあるようで、お楽しみポイント満載です。

 

 

実は、その「滑川 BOOK CAMP」なんですが、参加にあたって事前に

「秋の野外で読みたい一冊」

を教えて欲しいと言われました。

 

 

今回は、これに便乗して
イベントに参加させていただく「三松文庫」三人それぞれのおすすめの

「秋の野外で読みたい一冊」

を紹介させていただければと思います。

 

 

 

 

(1)あかまつのりき(「三松文庫」店主兼「hontopia」編集長)

 

〇 オチビサン(著/安野モヨコ)

オチビサン 1巻

オチビサン 1巻

 

(あらすじ/「Amazon内容紹介」より引用)

豆粒町を舞台に、オチビサンと仲間たちが繰り広げるあたたかい日常。春はお花見、夏は海水浴、秋はもみじ狩り、冬はお鍋・・・四季の移り変わりを、やわらかいタッチとどこか懐かしい色彩でつづった作品。

 

・四季折々の「オチビサン」を楽しめます。

 

・小さいから見つけられること、感じられること。

 

・小さい秋、みーつけた。

 

 

 

 

(2)三田稔(「hontopia」副編集長兼ライター)

 

〇 カンガルー日和(著/村上春樹)

カンガルー日和 (講談社文庫)

カンガルー日和 (講談社文庫)

 

(あらすじ/「BOOK」データベースより引用)

時間が作り出し、いつか時間が流し去っていく淡い哀しみと虚しさ。都会の片隅のささやかなメルヘンを、知的センチメンタリズムと繊細なまなざしで拾い上げるハルキ・ワールド。ここに収められた18のショート・ストーリーは、佐々木マキの素敵な絵と溶けあい、奇妙なやさしさで読む人を包みこむ。

 

・どうも気分が落ち込んだとき。そわそわするとき。少しだけ時間のあるとき。深刻なときから他愛ないときまで、ふとしたときに、適当にぱらぱらめくりたくなります。

 

・秋の屋外でハンモックに揺られながら、たまに居眠りしたりなんかもして、ぼちぼち読むのにぴったりかと。

 

・秋は実りの季節でもありつつ、紅葉など、ある種生命の区切りの季節でもあると思います。そんな季節にちょっぴりセンチメンタルに浸るのも一興ですよね。

 

 

 

 

(3)マツモトシュセイ(自称「NO Music,No Life」を地で行く男。現役大学生。「hontopia」で音楽ライターとして活躍中

 

〇 POPEYE(ポパイ)(雑誌)

POPEYE(ポパイ) 2018年 12月号 [Craftsmanship!~たしかにこれは職人技だ~]

POPEYE(ポパイ) 2018年 12月号 [Craftsmanship!~たしかにこれは職人技だ~]

 

 (内容紹介)

1976年創刊の男性向けファッション誌・情報誌。マガジンハウス発行で、毎月10日(日祝日の場合は8・9日)発売。

 

・ニッチなことが幅広く掲載されており、インタビュー記事も濃密で、自分の世界が広がる気がします。ページレイアウトもめっちゃタイプです。

 

・秋は「食欲の秋」とか「読書の秋」とか何かに没頭したくなる季節。POPEYEを読むと没頭したくなることに出会えます。

 

・2018年9月号のハンバーガー店特集は最近の号だと一番面白かったです。なぜなら、僕はハンバーガーが好きだから...じゅるり。

 

 

 

 

(編/「hontopia」編集部)

『大人の児童書目録 vol.4』【自分の謎】

こんにちは。

朝晩はだいぶ寒くなってきて、

早くも朝起きるのが辛いです、たけはるです。

 

先日は、愛媛・松山にて松山ブックマルシェが行われ

多くの方にお越しいただきました!

私も当日配布するフリーペーパーの作成と当日のスタッフとして参加。

昨年から古本の冊数は若干減ったものの、それでも楽しい2日間でした。

 

今日は、厳密にいうと「児童書」ではないのですが

帯に「大人のための、考える絵本」とあったので

「このシリーズで紹介しないわけにはいかない!」とビビッときた一冊です。

 

 

せわしなく生きる大人に聞く「自分ってなんだろう?」

 

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今回ご紹介するのは、赤瀬川原平の『自分の謎』です。

 

 赤瀬川原平というと、高松次郎と中西夏之とともに

ハイ・レッド・センター」という前衛美術グループを組んでいたり、

『月刊漫画ガロ』で漫画を連載したり、

尾辻克彦という名で小説を書いて芥川賞を受賞したりと

「カルチャー」というフィールドで多方面に名を残した方です。

今でいう、星野源みたいな感じでしょうか(笑)

星野源は、アバンギャルドではないけれど…

 

そんな、世の中を独自の視点でとらえて

様々な形でアウトプットしている赤瀬川原平が描く

「こどもの哲学・大人の絵本」。

この本を通して取り上げられているのは、

「自分ってなんだ?」という素朴な疑問です。

 

あまり普段の生活で考えることは少ないと思うのですが、

子どもなんかに「ねえ、なんなの?」って聞かれると

正直きちんと答えられる自信はありません…

 

ただ、赤瀬川原平は

鉛筆と少しの絵の具で描いたゆるい挿絵とともに

様々な角度から考えています。

 

鏡越しに見ている自分は、果たして自分なのか?

「痛い」と感じるものが自分だとしたら

どんどんそぎ落としていって残るものは何なのか?

Aちゃんの中にある「あっちの自分」も自分なのに

どうしてこっちの自分しかいないのか?

 

なんだか目が回りそうな感覚になるのですが、

期待外れな自己啓発本よりもよっぽど考えさせられる一冊です。

 

 

ものの考え方は、ひとつじゃない。

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冒頭に触れた松山ブックマルシェは、

老若男女、古書好きの方はもちろんですが、

サラリーマンや飲食店の店主、年金暮らしのおじいちゃん、

主婦、看護師さん、大学の先生、OL、小学生、大学生、外国人などなど

本当にいろんな人が来てくださいました。

 

でも、普段古本屋さんに通い詰めている感じでない人が

ブックマルシェには来ようと思った。

 

それって何でなんだろう?

何を求めてわざわざ足を運んだんだろう?

 

そんな疑問もわくのです。

 

 

来年、もっと「行きたい!」と思えるものにするためには

この部分ってけっこう大事なんじゃないかと思います。

みんなには、ブックマルシェってどう見えているんだろう。

 

本のイベントはまだまだ多そうですが

そんなことを考えながら行ってみるのも面白いかも。

と思う今日この頃なのでした。

「マルシェ」と呼ばれるイベントも飽和状態だし

何かおもしろいものはないかなあ。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

 

 

自分の謎

自分の謎

 

 

 

(文/たけはる/某雑誌編集者)

 

心と向き合い、誠実に生きる主人公の物語【ひとつむぎの手】

 

ひとつむぎの手

ひとつむぎの手

 

 

 

物語を読むとき、

「登場人物の行動や言動に共感していく」

というのは、醍醐味の一つのように感じます。

 

 

そういうこともあって、

この本の主人公には感情移入しやすく、夢中になって読みました。

 

 

主人公は心臓外科医で、3人の研修医を抱えますが、自分の将来のためにも、その研修医たちに心臓外科に入ってもらわないといけない。そこで、心臓外科のたいへんな部分や嫌な部分を隠して、研修医を取り込もうとしますが、なかなか上手くいかない。。。

 

 

「ありのままで」「自然体で」

 

 

その状態で、周りの人に接することの難しさたるや。。

けれど、自分を取り繕って、よく見せようとして接するよりも、

自分のありのままの姿を見せた方がずっと人間関係は上手くいく。

そのことを実感することもありますが、なかなか難しい。。

 

 

そんなことを考えていると、この物語にどんどんと入り込んでしまっていました。

 

 

ストーリーは進み、葛藤や嫉妬、劣等感に苦しむ主人公ですが、主人公はとことん誠実でした。

 

 

医者として「人」に対して、真摯に誠実に向き合っていく。

その姿勢がその思いがどんどんと、他の「人」へとつながっていく、つむがれていく。

 

 

そんなところがこの物語の主題のように感じられます。

 

 

自分自身の人とのつながりを

もう一度振り返ってみよう

大切にしていこう

と思えるとても温かい物語でした。

 

 

(文/ながっちゃん/学校教師)

孤独のハンバーガー【映画の「食べる」を楽しむ:「アルゴ」】

 

気がつけばもう11月。
束の間の秋が終わろうとするかのように、日に日に寒くなってきている今日この頃。
僕としては、現状、少しでも長く食欲の秋、美食の秋を堪能すべく、目下、色気より食い気といった次第である(※巷では「〇〇の秋」といった言葉が溢れ返っているが、その本流について、気になるので調べてみたい)。
もちろん、「食」とともに「映画」を楽しむことも忘れない。

 


近所の映画館で、面白い映画を観た後に、美味しい食事に舌鼓をうつ。
お酒も一杯ひっかけたりなんかもして、1日を気楽に過ごすのもいい。
昼間であれば、午前中の映画を見た後、ハンバーガー片手に、秋のドライブなんていうのもありだ。
本格的な冬の寒さが来る前に、出来るだけ長く、秋のゆるやかな雰囲気を感じていたいと思う。

 


そんなこんなで、若干の無理矢理感もあるが、今回は映画「アルゴ」と同作品内で主演のベン・アフレックが口にする「ハンバーガー」を紹介したい

 

〇 「アルゴ」について

 

アルゴ (字幕版)

アルゴ (字幕版)

 

 

2012年公開のアメリカ映画。
実際に起こった、在イランアメリカ大使館人質事件を題材としたスリラー映画である。


イラン革命により、イラン国内から放逐された国王・パフラヴィー二世が国外に亡命。
その亡命をアメリカが受け入れたことへの反発から起こった、在イランアメリカ大使館人質事件。


イラン国内の暴徒によって、在イランアメリカ大使館が占拠されるが、大使館職員の内6名は逃げ出すことができ、カナダ大使の私邸に匿われることに。
この6名を救出するため、CIA(中央情報局)は偽のSF映画製作をでっち上げ、6名を映画製作のスタッフに変装させて、秘密裏にイランから脱出させようとする。


ここまでが、この映画の大まかなあらすじである。


表題の「アルゴ」は、作品中に登場する偽のSF映画の題名から取られている。


「グッドウィル・ハンティング/旅立ち」や「アルマゲドン」で知られるベン・アフレックが監督・主演。
同人の演じるトニー・メンデスは人質救出のプロで、髭がよく似合う渋くてカッコいいおじさんといった風体だ。


6名の人質たちが心理的に追い詰められていく描写も含め、手に汗握る人質救出の過程に物語の主眼が置かれているが、そのほかにも、理由あってバラバラで暮らすトニーの家族に関する描写なども随所に挿入されており、いかに人質救出のプロ・英雄といえども、1人の人間であることを再確認させてくれる構成にもなっている。


実際の事件とは、異なるところがいくつかあって、エンタメ的に脚色されている部分もあるとはいえ、内容は非常によくまとまっており、アカデミー賞作品賞受賞映画であることにも納得だ。


このように、国内外で高い評価を受ける作品である一方で、実際の事件を題材にしていることもあって批判もある。
イラン国内では「この映画は事件をアメリカ側の視点で描きすぎており、反イラン的だ」とされていることなどが一例だ。


歴史的な背景や史実に関しては、僕自身、曖昧な部分もあるので割愛するが、気になる方は調べてみるといいかもしれない。

 

 

〇 「ハンバーガー」について


さて、劇中に登場するハンバーガーについてである。

 


トニーがハンバーガーを食べるのは、物語序盤。
自分の家で、離れ離れに暮らす息子と電話するシーンだ。

 


人質救出に関する会議を行うも、いい案が出ることもなく1日が終わり、家に帰ったトニー。
目の前のテーブルには、ファーストフード店のものと思われるハンバーガーや飲み物が乱雑に置かれている。
おもむろに電話機を掴み、息子に電話をかける。
息子になにをしているか尋ね、テレビを見ていると返答されれば、同じチャンネルに合わせるトニー。

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(「アルゴ」本編より)

 

トニー:「今日学校でなにがあった?」

 

息子:「なにもなかった」

 

トニー:「なにもないことはないだろ」

 

息子:「カードを交換した」


息子と電話しているときに、せめて、同じような時間を共有したいがために、同じテレビ番組を見る。
これといった用事があるわけではないが、声が聞きたいがゆえに、テンプレートな会話を投げかける。
そして、離れて暮らす息子を思いながら、孤独とともにハンバーガーを噛みしめる。
トニーの息子に対する思いが、画面越しに伝わってくる、なんとも哀愁漂うシーンである。

 

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(「アルゴ」本編より)


しかし、ここで見ていたテレビ番組がきっかけで、トニーは映画を利用した人質救出策を思いつくこととなる。
策を思いついた瞬間、親としての顔から仕事人としての顔に変わる様は見た目にもわかりやすい。

 


そのほか、別のシーンでは、美味しそうなタコスが登場するのだが、両シーンに共通していえるのは、ごはんタイム=家族の話になっているところだろう。

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(「アルゴ」本編より。こちらはタコス)


映画における食事シーンは、作中でキーとなる会話を引き出すのにもってこいのシーンだと思う。
「アルゴ」では、それらが登場人物らの仕事以外の内面を掘り下げることにつながり、ひいては人間的でプライベートな面にスポットを当てることになっている。

 


哀愁漂う男の生き様。
ハンバーガー1つから感じられるそんなところも本作品の魅力の一つであると思った。

 

 

(文/三田稔/ライター)

三松文庫放浪記~いちょう庵編~

こんばんは!
秋も深まり、ヒートテックへの切り替え時期に悩んでいるあかまつです。 
衣替えのタイミングって難しいですよね。


さてさて、今回の更新は「三松文庫放浪記」です。
前回のイベントで場所を快く提供してくれた
いちょう庵さんを写真で振り返りながら紹介していきますね。


お世辞抜きに素敵な空間なので、
その魅力を少しでもお届けできたら幸いです。


それでは、スタート!


この日も仕入れ担当兼ドライバー担当の三田くんの運転から始まります。
今回は一人欠席なので、三田とあかまつの二人体制です。


岡山から一時間半ほど車を走らせ、
いちょう庵のある上山集落へ進んでいきます。


見渡す限り緑色の山道を進み、
助手席のあかまつはハイボールを片手に「思えば遠くへ来たもんだなぁ」としみじみ呟いてみます。
運転席の三田くんは「ちゃんと道案内してくれや」と車内の会話も弾むこと弾むこと。


そして看板を発見

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 ダイナミックな手書きの字が可愛いですね。

 

いてもたってもおれず店内へ

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まるで映画のセットのように、懐かしさを感じる古民家の姿がそこにはありました。


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カウンター席もあります。


懐かしさを感じながら奥に進むと、

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なんといろりもあります。


ふと外を見てみると…

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なぜか木の豚さんもいます。可愛いです。


店内の雰囲気を堪能したところで、
お腹を空かせた二人は早速ランチタイムに


地の食材を使ったメニューということで期待が高まります。

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〇いちょう庵スパイスカリー
庵主が日々研鑽を重ねているカリーだそうです。様々なスパイスの味と食感を楽しめました。カレー好きにはたまりません。


育ち盛りの二人はまだまだ食べられると違うメニューもオーダー

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〇季節のパスタ
上山で採れたにんにくときのこがたっぷり使ってある秋の味覚を感じられるパスタでした。地の食材を食べ、上山の一部になったような感覚です(?)


最後はやっぱりデザートですよね。

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〇今日のおやつ
今回のおやつは手作りチーズケーキでした。いちょう庵の女将が作ったそうです。食べ終わるのがもったいなく感じるほどの美味しさでおかわりをしようか悩みましたが、太るので我慢しました。


美味しいご飯を堪能し、いちょう庵の外をぶらり。いちょう庵のある上山は棚田の景色が美しい地域。カフェの前は絶景が広がっています。

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稲刈り前はもっときれいな景色だそうです。行くしかないですね。


カフェの前にはわんちゃんもいます。

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一人で来ても遊び相手になってくれそうです。今回の更新で一番どうでもいい話ですが赤松は犬の中でビーグルが一番好きです。


きれいな景色、落ち着いた内装、地の食材を使った料理、そして笑顔が素敵な庵主たち。
岡山駅から一時間半ほど行くだけで、日々の煩わしさから離れて、とてもゆっくりとした時間を過ごすことが出来ました。
岡山にお越しの際はぜひ行ってみてください(営業日は要確認です)

 

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素敵な庵主と女将が皆さんをお出迎えしてくれますよ*

 

古民家カフェいちょう庵
住所:701-2614 岡山県 美作市上山2135
SNS:https://www.facebook.com/IchouAn/

 

あ、いちょう庵にお越しの際は縁側文庫も見て行ってくださいね^^

 

(文/あかまつのりき/三松文庫店主)

 

『三行文庫vol.6』【縁側で読みたくなる×ほんわか】

ステキな3人が毎回「気分×テーマ」に沿った本を紹介。
ステキな3冊を3行でー


「三行文庫」


第2、第4水曜日更新。


先日、三松文庫初の自主開催イベントを岡山県美作市の古民家カフェ「いちょう庵」で行わせてもらいました。

 

「hontopia」の記事でも書かせていただきましたが、
内容は縁側で読みたくなる本」をテーマにビブリオバトルを行うといったもので、参加者それぞれの思いを感じることができ、とても盛り上がったように思います。

 

そこで、今回は、先日のイベントの際に参加者の方々から紹介を受けた本の一部を紹介したいと思います。

 

どれも「縁側で読みたくなる」ような「ほんわか」する本ばかり。

 

それぞれの方々の「縁側」に対する思いなどにも触れながら、楽しんでもらえれば幸いです。

 

 

 

(1)ふくちゃん(「いちょう庵」庵主)

 

〇 葉っぱのフレディ―いのちの旅(著/レオ・バスカートリア)

葉っぱのフレディ―いのちの旅

葉っぱのフレディ―いのちの旅

 

 (あらすじ/「BOOK」データベースより引用)
この絵本を、自分の力で「考える」ことをはじめた日本の子どもと、子どもの心をもった大人たちに贈ります。わたしたちはどこから来て、どこへ行くのだろう。生きるとはどういうことだろう。死とは何だろう。人は生きているかぎりこうした問いを問いつづけます。この絵本が自分の人生を「考える」きっかけになることを祈ります。本書は、アメリカの著名な哲学者レオ・バスカーリア博士が「いのち」について子どもたちに書いた生涯でただ一冊の絵本です。

 

・命は循環するもの。そのことを確認させてくれる本です。


・「いちょう庵」も、極力、地の食材を使うようにするなど、循環を大切にしています。


・家の中にいながら、季節の移り変わりが見えるのが縁側だと思います。そんな場所にぴったりの本ではないかと。

 

 

 

(2)しゃけちゃん(「いちょう庵」女将)

 

〇 今日も、ていねいに。(著/松浦弥太郎)

今日もていねいに。 (PHP文庫)

今日もていねいに。 (PHP文庫)

 

 (内容紹介/「BOOK」データベースより引用)
たった一杯のお茶、ほんの小さな一言が、毎日を特別にしてくれる―『暮しの手帖』編集長が実践している、日々を大切に生きる秘訣。

 

・暮しの手帖編集長である松浦弥太郎さんの日々の暮らし方についての本


・日々の自分の暮らしの中にちょこっと取り入れたくなるような要素が満載。明日の自分を今日の自分より少しだけよくできるようなことが書いてあります。


・縁側はゆっくりとした時間が過ごせる場所。丁寧な暮らしっていうのは、穏やかな気持ちで日々を過ごすことかと思います。親和性が高いですよね。

 

 

 

(3)ながっちゃん(学校の先生。次は僕も記事を書いてみたいです)

 

〇 幸せの条件(著/誉田哲也)

幸せの条件 (中公文庫)

幸せの条件 (中公文庫)

 

 (あらすじ/「BOOK」データベースより引用)
恋も仕事も中途半端、片山製作所勤務の「役立たずOL」梢恵に、ある日まさかの社命が下された―単身長野に赴き、新燃料・バイオエタノール用のコメを作れる農家を探してこい。行く先々で断られ、なりゆきで農業見習いを始めた24歳に勝算はあるか!?働くこと、生きることの意味を問う、『ジウ』シリーズ著者による新境地。

 

・仕事に向かう姿勢を見つめなおさせてくれる本。


・特に印象に残っているのは主人公の上司の言葉。「必要とされることを求めるのではなく、自分から人や物を必要としていく姿勢が大事」。心が弱ったときに響きます。


・日々に疲れたとき、日常と切り離された縁側という場所で、この本を読んでリスタートしたいと思います。

 

 

 

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(文/「hontopia」編集部)