『三行文庫vol.15』【旅をしたい×心に響く本】
ステキな3人が毎回「気分×テーマ」に沿った本を紹介。
ステキな3冊を3行でー
「三行文庫」
第2、第4水曜日更新。
近ごろは、そろそろと足を忍ばせるように、春が近づいてきたように感じます。
まだ若干の肌寒さは残るものの、ウールのコートを着るのも、少し季節外れになってきましたね。
ぼくは寒いとなかなか外出する気がおきないんですが、あたたかくなってくると外出しないと、無性に損したような気持ちになります。
特に用事もないし、目的もないけれど、外に出て散歩してみたり、そんなに遠くに行くわけでもないけれど、車を走らせてみる。
ちょっとした旅気分でしょうか。
「旅」というと、なんらかの目的を設定するのが普通だと思うんですが、こんな風に「旅をするために旅に出る」というのも気持ちがいいものだと思います。
本の話をすると、「旅」に出るきっかけになる本が世の中にはたくさんあります。
以前、三松文庫が参加したイベント「タビサキ」の余韻を大いに引きずっていることもあって、今回は
「旅をしたい×心に響く本」をテーマに三冊を紹介させていただければ。
おススメの一冊をお聞きした方々は「旅」好きの方ばかりなので、実際に旅に出たくなること間違いなしの三冊だと思います。
(1)岸本紗奈衣(香川県琴平町のこんぴらさんのふもとで「人生いう“ひとり旅”を豊かにする」をコンセプトにカフェやウェブマガジンの発信を行うほか「栞や」として本の栞の販売なども行う)
〇 旅する種まきびと(著/早川ユミ)
(内容/「BOOK」データベースより引用)
アジアの旅のなかで学んだ、しんぷるな暮らし。あたらしくて、懐かしい。家族のありかた。こころの種をまく、子育て。暮らしを見つめる生きかたが、しみじみと伝わる本。「種まきノート」につづくエッセイ集。
(コメント)
・『旅することは、暮らすこと。旅することは生きること。』
布作家・早川ゆみさんがアジアの旅で学んだ“生きることの智慧”が詰まった一冊です。旅人になって30年という月日をかけて発酵させた、旅と暮らしと生きることの原点に触れることばたち。表記にはひらがなと漢字を使い分け、音の響きやことばの持つイメージを大切にされています。
(2)くりするか(TABIPPO広島副代表、旅を愛する女の子)
〇 『ガンジス河でバタフライ』
(内容紹介/「BOOK」データベースより引用)
20歳にして、長年夢見ていたひとり旅に出たてるこ。極端な小心者だからこそ、五感をフルに稼働させて、現地の人とグッと仲良くなっていく。インドでは聖なる河ガンジスを夢中に泳ぎ、ぶつかってしまった人に謝ると、なんと流れゆく死体だった…。ハチャメチャな行動力とみずみずしい感性が大反響を呼んだ、爆笑紀行エッセイ第一弾。
(コメント)
この分厚い本を読む間、主人公てる子さんと一緒に泣いて笑って、旅をしてました。
「旅をしたい!」「生きてるって感じたい!」読み終わってすぐ、インドへの航空券を調べていました。
『インド人が魅力的に見えるのはさ、みんな今日を生きているからなんだよね。』
将来の夢が見つからない、明日やることを整理しよう、そんな毎日を送っている自分。もっと「今」に向き合いたいと思いました。
(3)三田稔(三松文庫仕入れ担当、「hontopia」ライター)
〇 ワンダーランド・ソウル(著/小野田美紗子)
(内容紹介/「BOOK」データベースより引用)
1977年1月、厳冬のソウルに通信社員の妻として渡った著者が、子供を育て、韓国語を学びながら、3年間にわたって暮らした隣国の日常の出来事を、冷静な批評眼をもってつづったユニークな報告書、近くて遠い隣国の庶民の姿を新鮮な目でとらえた、韓国を知るための貴重な1冊。
(コメント)
最近は、海外旅行先としてもリーズナブルで若者からはトレンドの先端として人気の高い韓国。
K-POP、チーズダッカルビ(ちょっと古い?)、ハッドグ、オルチャンetc...
けれども、この本に登場するのは、そうしたものがまだなくて、街の雰囲気なんかも少しばかり違った時代、1970年代後半の韓国です。
日本の通信社に勤務する夫を持ち、夫の韓国への赴任を契機に、しばらく韓国に暮らすことになった著者ですが、当時のありのままの国民の姿や生活などを冷静な目で捉えています。
著者の見た韓国と今の韓国の姿を比較をしてみるのも面白いと思いますし、小難しい議論みたいなものは全くなくて、一人の人が当時の韓国生活で感じたことを、ありのまま一冊にまとめたといった本で、非常に読みやすいのも特徴です。
過去を旅することはできませんし、他人が実際の生活の中で感じたことを聞いてみるのって、着眼点であったりとか、案外面白かったりしますよね。
そんな一冊です。
(編/「hontopia」編集部)