『大人の児童書目録 vol.9』【ことばがいっぱい 言葉図鑑】

こんにちは。

気が付いたら4月が終わって「令和」になっていました。

先月、しれっとお休みしてしまってすみません、たけはるです。

 

今年のGWは10連休でしたが、

どのようにお過ごしになりましたでしょうか?

私は、近場でもいいので旅行に行きたかったのですが、

ハイシーズンで、かつ、どこも人が多いと思うと気が引けてしまって、

結局どこにも行かずでした…(笑)

 

でも、近場で山に登ったり、ご当地ビールを飲みに行ったり、

学生時代の友人に会ったり…

それはそれで、楽しい10連休でした。

 

今回はそんな、人が「動く」ことにスポットを当てた一冊です。

 

 

 

日々のくらしが「動き」に満ちてくる一冊

 

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今回ご紹介するのは、五味太郎 監修・制作の

『ことばがいっぱい 言葉図鑑 ①うごきのことば』です。

 

独特のタッチでかわいらしいイラストを描く

五味太郎さんの言葉図鑑シリーズ。

1985年に初版が発行され、今も広く読まれている

ロングセラー絵本となっています。

 

その中の「うごきのことば」では、

子どもたちの生活風景を描いた絵の中に

「うたう」「おくる」「よろこぶ」といった

動詞のことばが散りばめられています。

最後には、紙面の中で取り上げた動詞を五十音順にならべた

まとめのページがあり、

辞書的にも使うことができます。

 

「はいる」「おしえる」「たつ」のような簡単な言葉から

「わびる」「うながす」「せがむ」など、

子どもが使っているとびっくりしそうな言葉まで、

全565種類もの動詞がずらり。

さらに、同じ言葉でも違う意味で

取り上げられていたりするので、

そうなると700近くの動詞になるのです!

 

子どもの時は、表情豊かなキャラクターを見ながら

純粋に言葉を追っていただけだったのですが、

今、改めて見ると、

普段の何気ない生活の中で、

実にいろんな動作をしているんだなあ、と

流れるように過ごしている毎日を見直すきっかけになりました。

大人になってからも楽しめる、素敵な絵本です。

 

 

わかりやすく、シンプルに。

 

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この連休中、知人に連れられて

「廃村めぐり」という、ハイレベルな遊びをしてきました(笑)

 

数十年前までは、人が生活していたけれど、

立地や後継者不足など、様々な要因から今はなくなった集落跡に行き、

段々畑だったであろう跡や、

「天保」などと書かれた古いお墓を見るという

なかなかシュールなものなのですが、

ワンダーの要素を越えて

文化の「消滅」みたいなものを肌身をもって実感しました。

 

 

言葉でも同様に、

ネットやスマホの普及などから漢字を書けない人が増えたり、

「バズる」とか「ググる」といった最近の若者言葉や、

「ローンチ」とか「コンセンサス」みたいな

ビジネスやITでの専門用語のような言葉をたくさん耳にします。

 

時代の変化に対応するように、

言葉も新陳代謝があることはいいことだと思うのですが、

新しい言葉ばかりをやたらと使うのもどうかなあ、と

思ってしまいます。

 

文章を扱う仕事ということもあり、

考えさせられることが多々あるのですが、

人に何かを伝えたり、コミュニケーションをするうえでは

「わかりやすさ」と「シンプルさ」がすごく大事です。

みんなが見て、意味が正しく理解される必要があります。

 

そのためには、

流行りやトレンドで使われる言葉に飛びつくのではなく、

今まで脈々と使われてきている言葉を使うことが

重要なポイントの一つなのではないかと思うのです。

 

 

回りくどくなく、端的に物事を伝えることは

簡単なようで、実は意外と難しい。

でも、それは意外と足元を見ると

解決できることなのかもしれません。

大人になっても、できているようであんまりできていないなあと

痛感している今日この頃なのでした。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

来月はすっぽかさず書きます(笑)

次回もお楽しみに。

 

 

 

(たけはる/某雑誌編集者)