『三行文庫vol.3』【おなかがすいた×食欲増進】

ステキな3人が毎回「気分×テーマ」に沿った本を紹介。
ステキな3冊を3行でー


「三行文庫」

 

第2、第4水曜日更新。


台風等で何かと忙しない二百十日ではありましたが、酷暑も過ぎ去り、秋の気配ただよう今日この頃です。
夏バテ気味だったけれど、次第に食欲が戻ってきたという方も多いのではないでしょうか。


そんなところで、今回は美味しい特集。

「おなかがすいた×食欲増進」

特集。


3冊とも食欲を刺激してくれることはもちろん、心も満たしてくれる作品であること間違いなしです。

 

 

 

(1)あかまつのりき(三松文庫店主兼hontopia編集長)


〇 ぼくがラーメンたべてるとき(著/長谷川義史)

ぼくがラーメンたべてるとき

ぼくがラーメンたべてるとき

 

(あらすじ/「BOOK」データベースより引用)
ぼくがラーメンたべてるとき、となりでミケがあくびした。となりでミケがあくびしたとき…とおくとおくはなれたくにでいまなにがおこっているのだろう?おなじこのそらのしたで。


・僕がラーメンを食べている時、君は何をしている?


・君が何かをしている時、世界はどうなっているんだろう。


・平和への想いが込められた絵本です。

 

 

 

(2)佐々木真司(地方新聞社記者)


〇 世界一美味しい煮卵の作り方 家メシ食堂ひとりぶん100レシピ(著/はらぺこグリズリー)

世界一美味しい煮卵の作り方 家メシ食堂 ひとりぶん100レシピ (光文社新書)

世界一美味しい煮卵の作り方 家メシ食堂 ひとりぶん100レシピ (光文社新書)

 

(内容/「BOOK」データベースより引用)
人気レシピブログを運営する著者が行き着いた哲学は、「適当で楽で安く済んで、でも美味しい料理こそ、本当に必要な料理じゃないだろうか?」ということだった。「ひとりぶん」レシピで、材料はスーパーで手に入るもの、かつ一円単位で値段も明記。「適量」や「少々」という表記も一切なし!簡単で美味しいからこそ、料理のモチベーションが湧いてくる。「ひとりで食事をする時間」を最高に楽しくて美味しい時間にするための最高の一冊、ここに誕生!


・ 挑戦的なタイトルに惹かれて購入。ちなみに煮卵専門のレシピ本ではない。


・どのレシピも材料費付きで、出費がわかりやすく、何より簡単。


・1番のおススメはやっぱり煮卵で。お試しあれ。

 

 

 

(3)北岡たけし(生活に1冊でも多くの漫画を」を座右の銘とする漫画ライター。本人が面白いと思った本だけ紹介する)


〇 忘却のサチコ(著/阿部順)

忘却のサチコ 1 (ビッグコミックス)

忘却のサチコ 1 (ビッグコミックス)

 

 (あらすじ/「Amazon内容紹介」より引用)
ただ忘れるために…美食を求めて東へ西へ!
佐々木幸子(ささき・さちこ)、29歳。職業、文芸誌編集者。
仕事は順調、結婚も決まり、これまで完璧な人生を歩んできた。
あの日までは…!!
美味しいものを食べた時に得られる”忘却の瞬間”を求めて、
ありとあらゆる美食を追いかける!!
絶品グルメ・コメディー、開幕!!


・食事に求めるものは人それぞれか。「忘れるための食事」に共感できる。


・おいしそうな食事シーンはもちろん、サチコの日常も笑えて楽しい。


・高畑充希主演でドラマ化も(2017年放送済み)。ドラマもぜひ。

 

 


(編/「hontopia」編集部)

 

テイクアウトのアメリカンな中華料理【映画の「食べる」を楽しむ:「エターナル・サンシャイン」】

中華料理は世界中どこでも馴染み深い料理だと思う。
ただ、中華料理と一口に言っても、中国国内の各地方によって特色があって、食べるものや味も異なるというのは有名な話だ。

 
そうした「中華料理の多様性」は、日本の中華料理店でも、たまに見かける「四川料理」や「広東料理」といった看板から、身近に感じとれるかもしれない。

 
日本に留学していた中国人の友人に聞いたところによれば「中国では地方によって食べるものや味付けはかなり異なる。日本でいうところの関西と関東の味付けの違い程度とは異なる。ちなみに、中国で食べる中華料理と日本で食べる中華料理は全く別物」とのことであった。

 
「四川料理」や「広東料理」といった種類のほかにも、いわゆる「ジャパニーズ中華料理」なるものがあり、普段日本人が親しんでいるのは、こちらということなのだろう。

 
となると世界各国で食べる中華料理もそれぞれ味が異なっていたりするのだろうか。
例えば、イタリアンテイストの中華料理やアメリカンテイストの中華料理といった風に。


前置きが長くなったが、今回紹介するのは「テイクアウトのアメリカンな中華料理」および、それが登場する「エターナル・サンシャイン」という映画だ。

 


〇「エターナル・サンシャイン」について

2004年公開のアメリカ映画。
奇抜な展開の作品で有名な脚本家、チャーリー・カウフマンがプロデューサーおよび脚本を務めている恋愛映画だ。
ちなみにアカデミー賞の脚本賞をはじめ、様々な賞を受賞している作品でもある。
内容については、お互いに記憶除去の手術を受けた男女が主人公で、「記憶」と「愛」をテーマにしている。

 
主人公のジョエルとクレメンタインはカップルである。
しかし、近頃ギクシャクしており、クレメンタインが癇癪から「記憶除去手術」を受けて、自分の中の「ジョエルに関する記憶」を消去してしまう。
その影響で、赤の他人のような振る舞いを見せるクレメンタインを見て、ジョエルの方も癇癪を起こし、「記憶除去手術」を受けて、自分の中の「クレメンタインに関する記憶」を消去しようとする。
しかし、ジョエルは「記憶除去手術」の最中、クレメンタインとの思い出の中を彷徨いながら、無意識下で記憶除去に抵抗し始める。

 
というのが本作品の大まかなあらすじだ。

 
主人公であるジョエルをジム・キャリーが演じている。
平凡なことにコンプレックスを持ちながら、少々“チョロさ”を感じさせる主人公を好演している。

 
内容の大筋は先述したとおりであるが、「記憶除去手術」中のジョエルの記憶世界の描写は、当時としては斬新で、今見ても面白い。
また、手術中、眠り続けるジョエルをよそに、現実世界でのクレメンタインや他の登場人物たちが起こす、すったもんだの展開も面白く、脇を固める人物らの内面の掘り下げが興味深いのも特徴だろう。

 

 

〇「テイクアウトのアメリカンな中華料理」

ジョエルの記憶世界で、クレメンタインとの思い出が一つ一つ繰り返される。
その思い出の一つとして登場するのが、ベッドの上で隣り合い、2人で紙パックに入ったテイクアウトの中華料理を食べるシーンだ。

 
実は、この紙パックに入ったテイクアウトの中華料理、登場する洋画や海外ドラマがなかなか多い。
作品中で「見たことがある」と言う方も多いのではないか。

 
もちろん、これだけ登場するのには理由がある。
アメリカでは中華料理はピザなどと並んで出前やテイクアウト料理の代表格らしいのだが、そのお手軽さから「忙しい」や「わびしい」、「味気ない」、「独り身」といった人物描写やそうした雰囲気の表現として、劇中で使われることが多いのだ。
もう少し詳しく知りたいという方は、「テイクアウト中華_洋画」で調べてみるといい。

 
さて、その「テイクアウトの中華料理」であるが、本作「エターナル・サンシャイン」でも、そんな「味気なさ」の象徴として登場する。

 
ジョエルとクレメンタインは2人して「中華料理のテイクアウト」を食べながらも、その様子はどこかぎこちなく、暗い。
お世辞にも、会話が弾んでいるとは言えず、2人して、箱の中の中華料理を淡々とつついているといったところだ。

 

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(「エターナル・サンシャイン」本編より)

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(「エターナル・サンシャイン」本編より)

2人の間の関係の冷え込みを表現する上で、ここでも「中華料理のテイクアウト」がちょっとしたアクセントになっている。

 
ちなみに、この後、テイクアウトでなく、店内で中華料理を食べるシーンも登場するのだが、その際の2人のやりとりも、またぎこちない。
「また中華」といった発言もあり、2人のマンネリの象徴として印象的だ。

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(「エターナル・サンシャイン」本編より)

僕としては、「アメリカンテイストな中華料理」は、食べ方もあいまって、美味しそうに見えないこともないのだが、本作ではどこまでも不遇に感じられる中華料理なのであった。

 

(文/三田稔/ライター)

 

三松文庫出店情報@兵庫県伊丹市【鳴く虫と一箱古本市】

こんばんは、
三松文庫あかまつです。


突然なんですけど8月31日って残酷な日ですよね。9月に入ると夏はもう終わり。
海も、プールも、水着姿の美女も、すいかも、夏祭りも、花火大会も、浴衣姿の美女も、夏の出来事は全て幻想だったんだよと言わんばかりに現実に引き戻してきます。

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『大人の児童書目録 vol.2』【9月0日大冒険】

こんにちは。

あまりの暑さに、数年ぶりにバッサリ髪を切ってショートヘアになりました、たけはるです。

 

今日は8月最終日。

小学校などでは、夏休み最終日というところもあるのではないでしょうか。

今回は、そんな夏休み最終日に関する本のご紹介です。

 

 

今日で夏休みも終わり。と思いきや…

 

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今回ご紹介するのは、『9月0日大冒険』です。

 

 

このお話は、夏休み最終日である「8月31日」と

新学期が始まる「9月1日」の間、「9月0日」のお話です。

 

 

主人公は、小学4年生の純。

喘息持ちのためなかなか外で遊べずだったのですが、

今年の夏は旅行に、虫取りに、プールに、と楽しい夏休み!

 

…になるはずだったのですが、

突然の病気やお父さんの出張で予定が流れ、

結局、夏休みは満喫できないまま最終日、8月31日を迎えます。

 

「なんにも楽しくない夏休みだったなあ」と意気消沈して

8月最後の日めくりカレンダーをめくると…

そこにあったのは「9月0日」の日付。

 

驚くとともにふと窓を見ると、外は一面ジャングル。

あるはずのない「9月0日」が始まっていたのです。

 

そこから、クラスメイトのりこちゃんとアキラと出会い、

恐竜時代のジャングルを進んで行く、という冒険物語なのです。

 

 

これを初めて読んだのは、実は小学4年生の時。

 

 

そんなに文学少女というほど本を読んでいたわけでなかったので、

どんな本を読んでいたかあまり記憶にないのですが

何故かこの本はタイトルも話も覚えている、

ちょっと特別な本だったので、これを機に改めて読んでみました。

 

この本の特徴は、お話を盛り上げる挿絵が素晴らしくかっこいい所。

鉛筆だけのシンプルなデッサンなのですが、

荒々しさの残る力強さも中に、彼らの表情がわかる繊細さ、みたいなものがあって

そのリアリティさに創造力を駆り立てられます。

 

表紙のティラノサウルスなんて

本当にかっこいい。

 

中には見開きで挿絵のみのページもあって

ストーリーをさらに盛り上げています。

 

 

何気ない毎日を、おもしろく。

 

 

会社に出て、仕事をして、帰宅する、という何気ない毎日。

 

小学校の時も、学校に行って、勉強して、また帰る、という

大まかなサイクルは同じはずなのに、

すごく毎日が楽しかったような気がします。

 

今の仕事ももちろん楽しいんですけどね!(笑)

何も考えてなかったからなのかなあ、、

 

 

この「9月0日」のような非日常は起きないけれど、

もっと毎日を「おもしろく」過ごしたいものですね。

 

 

もう明日から9月。秋はすぐそこにまで来ています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

次回もお楽しみに。

 

9月0日 大冒険 (偕成社文庫)

9月0日 大冒険 (偕成社文庫)

  • 作者: さとうまきこ,田中槇子
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(文/たけはる/某雑誌編集者1年目)

 

この連載の過去記事はこちらから

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『大人の児童書目録』 カテゴリーの記事一覧 - hontopia

 

いい意味で憂鬱を感じさせる部分もあって面白い【『音楽では守りに入るな』:第3回「The Songbards」】

先日、香川県で開催された「MONSTER baSH2018」に行ってきました。
昨年も行ったのですが、今年も「熱い×暑い」フェスでめっちゃ楽しかったです!
僕のお気に入りは「MAN WITH A MISSION」のライブでした。
なんといっても、セットリストが最高で、みんながガゥガゥポーズをした光景には、胸が熱くなりました。

 


さてさて、そんな興奮冷めやらぬところですが、今回紹介するのは、平成生まれのロックバンド


『The Songbards』(ソングバーズ)


です。

 

Cages in the Room

Cages in the Room

 

 

youtu.be

 

1.『The Songbards』について
彼らは地元・兵庫県神戸市を拠点に活動する4人組バンド。
2017年1月に結成されたバンドであり、メンバー全員で作詞作曲するという比較的珍しいスタイルです。
バンド名は「Songbird」(さえずり)と「bard」(吟遊詩人)をかけているんだとか。
とてもお洒落ですよね!


そんなバンド名に違わず、彼らの楽曲のメロディは軽やかで、どこか懐かしさも感じられるような、心地良さを伴うものが多いのが特徴です。


また、MVからはメンバー全員が楽曲に心の底から入り込んでいる様子が伝わってきて、そうしたメンバーの空気感も含めて、1つの楽曲になっているように感じられます。

 

2.「The Songbards」の楽曲に対する私的感想
彼らの楽曲は、軽やかなメロディーで、どこか懐かしさも感じられるような心地良さを伴うものが多いです。
MVからはメンバー全員が楽曲に心の底から入り込んでいる様子が伝わってきて、メンバーの空気感も含めて、1つの楽曲になっているように感じられます。


彼らの楽曲に「oasis」や「The Beatles」、日本のバンドでいえば「andymori」のようなテイストを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実際、各種メディアによれば、彼らは「The Beatles」や「andymori」が好きで、かつてはコピーバンドをしていたこともあったのだとか。
しかし、それらのバンドとも一味違った平成生まれ青年の優しいクールさなどが、しっかりと感じられるのも特徴のように思います。


歌詞も綺麗で、雲の表情に物語のアップダウンを持たせたり、春の風に思いを乗せたりと、自然に関する表現も豊富。
美しく詩的な言葉の川と言っても過言ではないです。
河川敷で隣に座る誰かに語りかけるような柔らかな歌声も、僕を完全にノックアウトしました。

 

3.どんなときに聴きたくなるか
部屋に柔らかな日差し差し込む日曜のお昼に、ソファに腰かけながら、本を読みつつ、彼らの音楽を聴くのが大好きでです。
柔らかく、透明感のあるメロディが、読書の空気感を崩さず、まったく邪魔にならない。
読んでる本も3倍面白く感じられ、むしろ本の世界感に浸る手助けをしてくれるー。まさに読書と共存できる楽曲だと思います。

 

4.今後の活動について
彼らは8月上旬に開催された「ROCK IN ON JAPAN FESTIVAL 2018」にも出演しましたが、なんと8月24日から同月27日にイギリス・リヴァプールで開催される「international Beatle week」への出演も決まっており、日本のみならず、海外でも活動を広げ始めています。


余談ではありますが、「international Beatle week」は1980年代から現在まで、毎年8月末にイギリス・リヴァプールで開催されている世界最大規模の「The Beatles」のお祭りです。
「The Beatles」の楽曲からも影響を受けたという「The Songbards」にピッタリなフェスとはいえ、デビューから約1年半ほどしか経っていないにも関わらず、出演するというのは驚異的に感じます。


しかし、彼らの楽曲からはそれも納得するくらいのポテンシャルの高さと落ち着きが感じられることもあって、出演決定も頷ける気がするのも確かです。


10/10には2nd ミニ・アルバムをリリースします。
破竹の快進撃を続ける彼らの楽曲をみなさんもぜひ。

 

youtu.be

 

 

詳しくはこちら(「The Songbards|BAND JAPAN」)


http://thesongbards.com/

 


(文/マツモトシュセイ/自称「No Music,No Life」を地で行く男。現役大学生。自身もバンド活動を行いながら、バイトでお金を貯めてはCDを買い漁り、全国のライブへと足を運ぶ。アナログ派ではあるが、趣味の一つはYoutubeでこれから「くる」バンドを探すこと。最近フェスでの日焼けに悩みがち)

 

 

この連載の過去記事はこちらから

マツモトシュセイ カテゴリーの記事一覧 - hontopia

『三行文庫vol.2』【背すじをゾクッとさせる×学校】

ステキな3人が毎回「気分×テーマ」に沿った本を紹介。
ステキな3冊を3行でー


「三行文庫」


第2、第4水曜日更新予定。


近頃は、台風の影響からか少し涼しくなってきて、過ごしやすくなってきたかと思います。


今回は、そんな夏をもう少し涼しくするような、

また、夏といえば夏休み=学校ということで

「背すじをゾクッとさせる×学校」

です。

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『三行文庫vol.1』【キラキラしたい×青春】

 

ステキな3人が毎回「気分×テーマ」に沿った本を紹介。
ステキな3冊を3行で―――

 

そんなコンセプトで始めます。


「三行文庫」

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