『大人の児童書目録 vol.4』【自分の謎】
こんにちは。
朝晩はだいぶ寒くなってきて、
早くも朝起きるのが辛いです、たけはるです。
先日は、愛媛・松山にて松山ブックマルシェが行われ
多くの方にお越しいただきました!
私も当日配布するフリーペーパーの作成と当日のスタッフとして参加。
昨年から古本の冊数は若干減ったものの、それでも楽しい2日間でした。
今日は、厳密にいうと「児童書」ではないのですが
帯に「大人のための、考える絵本」とあったので
「このシリーズで紹介しないわけにはいかない!」とビビッときた一冊です。
せわしなく生きる大人に聞く「自分ってなんだろう?」
今回ご紹介するのは、赤瀬川原平の『自分の謎』です。
赤瀬川原平というと、高松次郎と中西夏之とともに
「ハイ・レッド・センター」という前衛美術グループを組んでいたり、
『月刊漫画ガロ』で漫画を連載したり、
尾辻克彦という名で小説を書いて芥川賞を受賞したりと
「カルチャー」というフィールドで多方面に名を残した方です。
今でいう、星野源みたいな感じでしょうか(笑)
星野源は、アバンギャルドではないけれど…
そんな、世の中を独自の視点でとらえて
様々な形でアウトプットしている赤瀬川原平が描く
「こどもの哲学・大人の絵本」。
この本を通して取り上げられているのは、
「自分ってなんだ?」という素朴な疑問です。
あまり普段の生活で考えることは少ないと思うのですが、
子どもなんかに「ねえ、なんなの?」って聞かれると
正直きちんと答えられる自信はありません…
ただ、赤瀬川原平は
鉛筆と少しの絵の具で描いたゆるい挿絵とともに
様々な角度から考えています。
鏡越しに見ている自分は、果たして自分なのか?
「痛い」と感じるものが自分だとしたら
どんどんそぎ落としていって残るものは何なのか?
Aちゃんの中にある「あっちの自分」も自分なのに
どうしてこっちの自分しかいないのか?
なんだか目が回りそうな感覚になるのですが、
期待外れな自己啓発本よりもよっぽど考えさせられる一冊です。
ものの考え方は、ひとつじゃない。
冒頭に触れた松山ブックマルシェは、
老若男女、古書好きの方はもちろんですが、
サラリーマンや飲食店の店主、年金暮らしのおじいちゃん、
主婦、看護師さん、大学の先生、OL、小学生、大学生、外国人などなど
本当にいろんな人が来てくださいました。
でも、普段古本屋さんに通い詰めている感じでない人が
ブックマルシェには来ようと思った。
それって何でなんだろう?
何を求めてわざわざ足を運んだんだろう?
そんな疑問もわくのです。
来年、もっと「行きたい!」と思えるものにするためには
この部分ってけっこう大事なんじゃないかと思います。
みんなには、ブックマルシェってどう見えているんだろう。
本のイベントはまだまだ多そうですが
そんなことを考えながら行ってみるのも面白いかも。
と思う今日この頃なのでした。
「マルシェ」と呼ばれるイベントも飽和状態だし
何かおもしろいものはないかなあ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに。
(文/たけはる/某雑誌編集者)