結構やばいんじゃないか、アパレル業界【誰がアパレルを殺すのか】

突然ですが、ブロガーのちきりんさんって、ご存知の方も多いでしょうか?
社会派ブロガーということで、ブログやツイッターなどで精力的に情報発信している方です。
実は、ぼく,ちきりんさんのファンでして、ブログはもちろんのこと、ツイッターもフォローしていて、日々勉強させてもらっています。

 

 

勉強になるだけじゃなくて、ユーモアもふんだんにあって、見ていて飽きないんですよね!

 

 

そんなちきりんさんが、以前、ご自身のブログで紹介していたのが、

本書「誰がアパレルを殺すのか」です。

 

誰がアパレルを殺すのか

誰がアパレルを殺すのか

 

 

最近、ストライプインターナショナル(※1)とかスタートトゥデイ(※2)とかZOZOスーツ(※3)に興味を持っていたので、タイトルに惹かれて購入しました。
(※1)earth music&ecologyなどをブランドに持つ岡山県所在の衣料品店
(※2)ネットショッピングサイト・ZOZOTOWNを運営する企業
(※3)ZOZOTOWNで販売されている、一瞬で体型を測定できるスーツ

 


本書の特徴は、雑誌記者の丹念な取材に基づくデータに加え、そのほか客観的データから、アパレル業界の繁栄と没落を説明し、これからの業界の進むべき道を示している点です。

 


いくつか、ぼくが個人的に気になったポイントを感想とともにご紹介します。

 


〇アパレル業界の現状

バブルの時代は服は作れば作るだけ売れましたが、今は販売規模が減少していっているそうです。
(例)
1991年:15.3兆円
2013年:10.5兆円

 


しかし、それに反比例して、服の供給量は増えていっています。
(例)
1991年:22億点
2013年:40億点

 

 

無駄な在庫を作ること前提で生産して散弾銃のように、数打ちゃ当たるの戦法。
大量生産して、1品当たりの単価を下げて、売り場にばらまくシステムでなんとかやってきたと言えます。

 


これはなぜなのでしょうか。

 

 

本書の著者・杉原淳一さんは、その理由を「様々なアパレル企業がユニクロやZARA、H&MのようなSPA(※製造小売業)の成功モデルに追随しようとしたから」であると述べています。

 

 

ユニクロやZARAなどのSPAの成功モデルでは、生産から販売までのサプライチェーン全体をコントロールしているがゆえに
・店頭で今何が売れているか?
・この製品は、どの工場に任せたほうが良いか?
といった情報が恒常的に入手でき、サプライチェーンを構成する各社に対して柔軟な指示を出すことができます。

 


そのため、商品を大量に作る一方で、無駄をかぎりなく抑えることができるので、安く、品質のいいものを作れるのだそうです。

 

 

百貨店ブランドなどはSPAの成功モデルに追随しようとしつつ、自社のブランドのデザインなどを何から何まで、全てを商社に任せてしまったことで、没個性化し、ファストファッションとの「差」が無くなってしまった。

そうして同じような服が店頭に並ぶようになり、売れなくなってしまったと杉原さんは述べています。

 

 

確かに、ファッション雑誌を読んでいると、どの雑誌も大体似たようなファッションをおすすめしているように感じます。
そして、そうしておすすめされた流行をもとに、同じような服が様々な店で売られているようにも。

 


服というのは、分かりやすく目に入る視覚情報なので、同じような服をきることによって、もしかしたら、無意識に集団の同調化に縛られてしまっているという可能性もあるのかなと思っています。

いささか、飛躍しすぎな感もぬぐえませんが。

 


服を選ぶときの基準に自分の個性をたくさん出せてる人はどれだけいるのだろう。

ふと、そんなことを考えました。

 

 

〇 今までのアパレル業界に一石を投じる企業たち

・エバーレーン(アメリカ)
このアパレルの特徴は生産の過程をすべて開示するという点だそうです。
生地に40ドル、人件費が7ドル、関税が4ドル、利益に20ドルという風に、すべての生産過程のお金を開示します。
また、一般にカシミヤなどの生地は、毎年値段が上下することが基本なんだそうですが、従来のアパレル企業は、生地値段変動のあたりをつけて、値段設定をしており、最終的な製品の価格に変動させていませんでした。
それをこの企業は変動させたんです!

 


また、セールとは言わず、お客さんに3パターンの値段を提示して、価格を決めてもらうのも特徴です。
(1)原価のみ
(2)原価+3000円。ベトナムの工場に還元します 
(3)原価+5000円。今後のさらなるよい商品のために使います。ありがとう!
といった具合です。

 


・トウキョウベース(日本)
このアパレルでは、服はすべて、日本の工場で作られているのが特徴です。
品質にこだわり、自らデザインして、よい品質の布を使い、衣服を作ります。
没落したアパレルとは真逆の事をしているんですが、これがなんとコスト的には特段高い訳ではないんですね。
いい服を適切な値段で売っている日本のアパレルブランドと言えると思います。

 


この本を読んで、実際に、ぼくもチェスターコート、ストレッチ素材のパンツ、ニットを買いました!
これが、めちゃくちゃ着心地がよくて、びっくりしています。
しかもめちゃくちゃかっこいい。
シンプルなデザインだけど、素材が良くて、最近はここでばっかり服を買っています!おすすめしたい!
西日本であれば、梅田のルクアイーレの中にあるので、手っ取り早くおしゃれになりたい人になんかは、ぜひぜひおすすめです。

 


・ZOZOTOWN(日本)
自前の物流拠点で、すべてのブランドのサイズを一元的に測りなおして、簡単に比較できるようにしたのが特徴です。
アパレル企業にしても、百貨店に卸すより、ZOZOTOWNに卸す方が収益面のメリットが大きいのが実際だそうです。

 


また、商品を送るだけで、そのあとの商品の撮影や、検品、発送はすべてゾゾがやってくれるというのも、アパレル企業にとっては魅力の一つです。ZOZOTOWNに出店しているアパレル企業だけが見れる管理サイトがあり、アパレル企業が、自社の在庫を確認できるだけでなく、他社のトレンドや何が売れているかも閲覧することができるようになっています。
ここでは、過去の売り上げも見ることができ、「昨年の3月に売れた女性向けブラウスは?」というような検索も可能だそう。

 


ZOZOTOWNといえば、ZOZOスーツって出ましたよね!

 


個人的な見解なんですが、おしゃれかおしゃれじゃないかってサイジングがめちゃくちゃ大きなウェイトを占めてて、シンプルな服でもその人の体にちょうどあった服なら、おしゃれに見えると思うんですよね(わざと着崩して着るファッションなんかもありますが)。

 

 

ゾゾスーツは各々の体型を計測して、ネットで、自分にぴったり合う服を試着なしで選ぶことが出来るって点が革命的だと思います。
これが全国民に行き届けば、極論、日本人がみんなおしゃれになるってこと。ダサいファッションの人がいなくなるってこと。

 

 

これってすごいことじゃないですか?!
日本人みんながおしゃれ。そんな理想の世界の実現の為に日々働いてるスタートトゥデイの社員さんはすごいと思います。

 


もし、そんな理想が実現された世の中って、未来って、どうなるんでしょう?

そんな未来を想像させちゃうZOZOTOWNは、やっぱり凄いと感じてしまいます。

 


(文/トミー祐作/大学生時代にまちづくりや地域コミュニティ形成について学ぶ。現在サラリーマン生活3年目)

(編/三松文庫)