『三行文庫Vol.14』【春を感じる×感性を楽しむ】


ステキな3人が毎回「気分×テーマ」に沿った本を紹介。

ステキな3冊を3行でー

 

「三行文庫」

 

第2、第4水曜日更新。

 

 

季節には色がある。

 

季節には匂いがある。

 

季節には味がある。

 

季節には思い出がある。

 

季節が冬から春へと移り変わりました。

ただ気温が変わっただけでなく、

「あ、季節が変わったな」って感じる瞬間がありますよね。

 

言語化しにくいけど何かもいっしょに切り替わってる気がします。

 

今回はそんな季節の移り変わりにぴったりの

「春を感じる×感性を楽しむ」をテーマにご用意した三冊です。

 

 

今回紹介する3作品のうち、

2作品は同じ作者の本でした。 

 

 「春を感じる」というテーマで、

近い感性の人が見つかるのも三行文庫の魅力です。

(1)まなえもん(webデザイナー目指し勉強中/更新日の今日が誕生日)

 

神様 (中公文庫)

神様 (中公文庫)

 

〇 神様(著/川上 弘美)

(紹介/「BOOK」データベースより引用)

くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである―四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。

 

・「春に読みたい本」で真っ先に思い浮かびました。紳士で礼儀正しいクマさんとピクニックに行くお話。

 

・ほっこりするのだが、しんみり切なくもなる。去年の春、菜の花畑でピクニックしているときに友人におすすめされた1冊。

 

・今年も読みたいな。そして今年も菜の花畑でピクニックがしたいな。

 

 

 

 

(2)三田 稔(三松文庫仕入れ担当/hontopiaで『映画の食べるを楽しむ』連載中)

 

〇ゆっくりさよならをとなえる (著/川上 弘美)

ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)

ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)

 

(内容/「BOOK」データベースより引用)

「いままでで一番多く足を踏み入れた店は本屋、次がスーパーマーケット、三番めは居酒屋だと思う。なんだか彩りに欠ける人生ではある」。春夏秋冬、いつでもどこでも本を読む。居酒屋のカウンターで雨蛙と遭遇したかと思えば、ふらりとでかけた川岸で、釣竿の番を頼まれもする。まごまごしつつも発見と喜びにみちた明け暮れを綴る、深呼吸のようにゆったりとしたエッセイ集。

 

・作者の生きる日常を感じられるエッセイ集

 

・日常に対する感じ方やちょっとしたことを独特に感じられる作者の感性が面白い。そして文章がきれい。

 

・心にゆとりをもつということを改めて考えさせられます。

 

 

 

 

(3)あかまつのりき(三松文庫店主。春の訪れは花粉症で感じた)

 

小説 秒速5センチメートル (角川文庫)

小説 秒速5センチメートル (角川文庫)

 

〇 秒速5センチメートル(著/新海 誠)

(内容/「BOOK」データベースより引用)

いつも大切なことを教えてくれた明里、そんな彼女を守ろうとした貴樹。小学校で出会った2人は中学で離ればなれになり、それぞれの恋心と魂は彷徨を続けていく―。劇場アニメーション『秒速5センチメートル』では語られなかった彼らの心象風景を、新海誠監督みずからが繊細な筆致で小説化。1人の少年を軸に描かれる、3つの連作短編を収録する。

 

・春には出会いの側面と別れの側面がある。一人の人との出会いと別れが良くも悪くも人生に影響を与えることもある。

 

・初恋に対する思い出の、男女間の差の描写がとても上手で、とても残酷な作品です。

 

・「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」桜の描写に見惚れること間違いなし。

 

 

 

 

(編/「hontopia」編集部)

中国古典を味わう【[決定版]菜根譚】

中国古典といえば、「論語」が一番思い浮かぶだろうか。

学生のころ、そういう中国古典は校長先生が話の中で用いる材料の一つでしかなく
「はいはいはい、要は頑張りなさいってことでしょ?そういうのもういいよ、内容空っぽじゃん」
なんて思っていた。

 

 

しかしである。

齢30歳が見えてくると、古典のすごい部分、その凄みが感じられるようになってきた。


それは自分が生きた何十倍の年月の間、廃れることなく読み継がれてきたということのすごさであり、時代がどれだけ移り変わろうと、生きるという営みの中には万人に共通する大切なものがあり、そこに価値がある

と思えるようになったのだ。

 

今では
「老子」「上善は水の如し」

「荘子」「無用の用」の考え方も大好きである。

そして今回紹介する本は、自分の目指したい生き方そのものだ。

 

[決定版]菜根譚

[決定版]菜根譚

 

 

この本は訳書であるが、「菜根譚」の著者は洪応明といい、中国の古典の中では、比較的新しいもので、十七世紀の初めごろ、今から約400年前に書かれた本である。

 

「菜根譚」という題名の「菜根」とは粗末な食事、「譚」とは談と同じ意味で、苦しい境遇に耐えた者だけが大事を成し遂げることができるという意味があるらしい。

「前集」と「後集」に分かれており、あわせて360の短い文章から成っている。

その一つ一つに、ただ受け身としてなんとなく生きるのではなく、地に足つけて生きる力強さが感じられる。

 

 

私のこの本の楽しみ方は、パッと適当にめくったところで目に入った文章を、「声に出して」読むことである。

(BLEACHの鬼道の詠唱みたいにかっこよく。藍染惣右介になりきりながら)

 

そして、その言葉を、自分の生き方や今の生活と照らし合わせて考えてみる。

 

 

それぞれの意味自体は、「一喜一憂するな」とか「何事もほどほどがいい」とか端的でシンプルなものが多いが

シンプルなものゆえに、「自分を省みる」いう作業に大きな意味があると思う。

そうすることで、その言葉は自分だけの独自の意味が込められてくる。

自分が解釈したその意味が今の生活をよりよいものにしていく。

 

ぜひ、この本を読んでお気に入りの一節を探していただけると嬉しい。

 

 

最後に私の好きな一節を。

 

前集の六十九より

燥性者火熾、遇者則焚。寡恩者氷清、逢物必殺。凝滞固執者、如死水腐木、生機已絶。倶難建功業而延福祉。

(燥性なるは火のごとく熾んに、物に遇えば則ち焚く。寡恩なるは氷のごとく清く、物に逢えば必ず殺す。凝滞固執するは、死水腐木の如く、生機已に絶ゆ。俱に功業を建て福祉を延べ難し。)

意味:幸せをもたらすには、落ち着きや余裕を持ち、周りへ温かい心で接し、臨機応変に対処するのがよい。


以上。

 

 

(文/ながっちゃん/学校教師)

愛と友情の中華料理【映画の食べるを楽しむ:「シュリ」】

ちょっと触れるのが遅いが(※いや、かなり遅い)、平成がそろそろ終わるらしい。

 

ここで平成を振り返ることでもできれば、気が利いているのだが、僕にはそんなことができる記憶力も知見も胆力もないので、直近の2018年のニュースを振り返ってみる。

 

2018年も思えばいろんな出来事があったなと思う。

個人的には、なにかと朝鮮半島に関する話題を目にしたり耳にすることが多かったような。

 

そういえば、昨年の平昌オリンピックを皮切りにこれまでの変化とは少し違った変化が起きたように感じるのがその理由だろうか。

 

トランプ氏が金正恩氏を、国連の場で「ロケットマン」と呼ぶなど、アメリカと北朝鮮が一触触発の状態に感じられたのが打って変わって、初の米朝首脳会談が開催されたり、韓国と北朝鮮の首脳が手を取り合って板門店で会談を行うなど、緊張状態が緩和されたとするような報道も目立った。

 

この情勢の良し悪しは、賛否両論あるだろうし、僕にもわからない。

ただ、今後どんな形であれ世界の様々な問題が解決されて、将来的な平和に繋がるのであれば嬉しい。

 

これまでも様々な展開を迎えてきた朝鮮半島情勢。

今後どうなっていくのか全く予想できないとのことで、若干の興味も湧く今日この頃。

 

 

今回は、そんな朝鮮半島の南北関係をテーマとした作品で、かつて韓国で一大ムーブメントを巻き起こした映画「シュリ」と同映画に登場する食事について紹介させてもらえれば。

 

 

 

〇 シュリについて

シュリ [DVD]

シュリ [DVD]

 

 

1999年に公開された映画で、ラブストーリー要素あり、サスペンス要素あり、アクション要素ありの韓国映画である。

 

韓国に潜入した北朝鮮工作員(女性)と韓国諜報部員(男性)との悲恋を描いたラブストーリーでありながら、南北関係にスポットを当てた社会派作品だ。

 

今でこそ、こうしたテーマの作品は珍しくないが、当時としては革新的なテーマだったそう。

北朝鮮工作員と韓国諜報部員という決してあい入れることのない立場の二人。

この二人が南北の思惑に翻弄される様は見ていて切なく、生まれや育ちは違えど同じ「人間」であることや分断された民族の悲哀を感じさせる。

 

 

 

〇 愛と友情の中華料理

 

劇中、主人公で韓国情報部員のジュンウォンとその彼女・ミョンホンはジュンウォンの相棒のジャンギルと3人で観劇に出かけるシーン。

 

3人の様子からは

ジュンウォン・ミョンホンカップルとジャンギルが良好な関係を築いていることが伺える。

 

和気あいあいとした雰囲気で観劇を楽しんだ後は、3人で屋台の立ち並ぶ市場(?)のような場所で食事をすることになり、大皿の中華料理を食べる。

 

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(「シュリ」本編より。向かって左がジュンウォン、右が彼女・ミョンホン)

 (※字幕は向かいに座るジャンギルに向けて言った言葉です)

 

3人ともリラックスした表情を見せ、会話も弾む。

 

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(「シュリ」本編より。大皿の中華料理)

 

食事中、ミョンホンはジャンギルの、とある行動がきっかけで酢豚を箸で取り損ね、向かい側のジャンギルの席まで酢豚を飛ばしてしまう。

ジャンギルの服を汚してしまったことで、ミョンホンは布巾を取りに席を立つこととなる。

(※ジャンギルのとある行動については、ネタバレの可能性もあるので、本編で確認してほしい)

 

 

その後、ジュンウォンとジャンギルは、しばし席に2人となり、ビールを注文する。

そこで、雑談の中で、2人は日々の情報部員としての任務に対する思いを、どちらからともなく、お互いに話し始める。

 

同じ職場の男2人で話すことといえば、やはり仕事の話になってしまうものだろうか。

 

ジュンウォンは任務の最中、相棒に危機が迫ったとしても、任務を優先すると言う。

それに対し、ジャンギルは相棒を優先し、助けると返答する。

そしてビールを乾杯。

 

2人の間には意見が食い違うことへの反発や憤りはなく、

まるで実際その場面になれば、お互いがどういう行動を取るか知り尽くしているといった様子だ。

 

単なる職場の同僚としての立場を超えた「相棒」としての友情にも似た感情が感じられる。

 

この会話が後半のシーンのための布石になっているように思う。

見直すと少しセンチメンタルに感じるシーンだ。

 

 

ちなみに、このシーンで登場するビールについても一つ小話を。

 

登場するのは、ごく一般的な瓶ビールに見えるが、日本で通常給仕される瓶ビールとは違うところが一つある。

 

それは、瓶ビールの飲み口が紙ナプキンのようなもので巻かれていることだ(※日本でもあるのかもしれないが、僕は出会ったことがない)。

 

「飲み口を拭いてから飲んでください」との意味のようで

どうも、ビールの製造工程で瓶が汚れている可能性があることが理由らしい。

東南アジアなんかでも見られる習慣なんだそう。

 

調べるまでは、炭酸が抜けるのを少しでも防ぐためのサービスか何かかと思っていた。

よく考えれば、そんな紙を少し巻いたくらいで、気体である炭酸を封じ込めることなど出来るわけなかろうに。

僕が知らずに遭遇していれば、そのままゴクゴク飲んだに違いない。

色んな意味で清濁併せ呑む人間になりたいと常々思っているが、これいかに。

 

 

 

(文/三田稔/ライター)

三松文庫放浪記~岡山の本屋を巡る~


hontopia.hatenablog.jp

 

 

楽しかった宇野に別れを告げ、バスに揺られながら

岡山に到着した三松文庫店主・あかまつ、仕入れ担当・三田、そして、今回の旅をコーディネートしてくれている杉原くん。

 

 

さあ、これからの時間は岡山の本屋巡りだ!

ということで、杉原くんの紹介のもと

岡山市内の本屋巡りを行うことになった、あかまつと三田。

 

 

 

まずは、岡山駅から近い美術書専門の古書店「月吠文庫」(げっぽうぶんこ)さんへ向かいます。

月に吠えると書いて月吠。

行く前から、その名前の語感の格好良さに踊る心を抑えきれません!

 

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店内入ると所狭しと広がる美術関連本の数々。

店内には、店主さんのほか市内でギャラリーを営む常連の方もいらっしゃり、小1時間ほど話し込むことに。

お茶のほか、コーヒー、お菓子などもご馳走になってしまい、その優しさに触れたことが、感謝の言葉では足りないくらいに嬉しかったです。

 

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店主さんの美術品の収集についてのこだわりや、自宅に置かれている蔵書の数々、岡山出身の美術作家さんについてなど、たくさんのお話を聞かせてもらいました。

 

店主さんは長年、美術月報に登場する作家さんをカードにメモして保存しているらしく、資料収集に対するひたむきさと情熱に胸が熱くなります。
また、店主さんの美術品コレクションは、月替わりで入れ替えながら店内で陳列されており、行くたびに違ったコレクションが見られるかもしれないのもすごく魅力的でした。

 

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(三松文庫一行が訪問した際の展示)

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(三松文庫一行が訪問した際の展示)

常連の方も、みなさん美術への造詣の深い方ばかりで、美術作家や作品についてたくさんのことを勉強させてもらったほか、新鮮な驚きが多々あって、ワクワクしているうちに、あっという間に時間が過ぎていました。

 

 

 

名残惜しい気持ちを引きずりながら、一行は次の目的地へ。

杉原くんの彼女さんが、ここの店主さんと顔見知りという「スロウな本屋」さんへと向かいます。

 

「月吠文庫」さんからは比較的近く、ワクワクの余韻もあってか、自然と足取りも軽くなります。

 

しかし…

 

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(全体写真を撮り忘れました。すいません...)

残念ながら、この日に限って16時に閉店という不運。

自分たちのツキのなさに地団駄を踏みながらも、次回はリベンジしようと心に決める三松文庫です。

ぜひ、みなさんはネットであらかじめ開店時間を調べてから、足をお運びください。

 

 

 

気を取り直して、また次の本屋さんに足を運びます。

次に足を運んだのは大学町にある古本屋「ながいひる」さん。

「月吠文庫」さんや「スロウな本屋」さんのある場所から、大学町は少し離れているんですが、運動がてら徒歩で向かいました。

 

その結果、かなりの時間がかかったのは否めません。

「少し」じゃなく「かなり」離れていました。

岡山駅から路面電車で行くことをおすすめします(笑)。

 

 

 

アジア関連の雑貨屋さんがあるビルの二階に「ながいひる」さんはあります。

店外には100円均一コーナーも。

掘り出しものもあるかも!

 

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(左右にあるのが100円均一コーナー)

 

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さっそく店内に入ると、なんと三松文庫のソウル・ドリンク「ビール」が!

キリン一番搾りの黒ビールで乾杯させてもらいます。

 

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店主のキムラさんの好きな作家は、町田康さんなんだそうで、店内にも町田康さんの作品が何冊か並んでいます。

 

町田康さんは現役のミュージシャンでもあるんですが、作品内における言葉の言い回しが好きなんだとか。

 

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そのほか、店内の書籍やビデオ、レコードなどには、開店当時からそのままのものもあり、中には、家にあったものから持ってきたものなんかもあるそうです。

そうしたラインナップが店内の雰囲気にいい感じにマッチしていて、すごく心地のよい空間を作り出しています。

 

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「ながいひる」さんでは、定期的に「古本酒場」というイベントを開催していたり、ライブなんかも行われることもあるんだとか。

 

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たまたま、今回三松文庫が来店した日は、「古本酒場」の日だったのですが、時間の都合上、足を運べず…

次こそは絶対にリベンジしたいです。

 

 

 

「ながいひる」さんで、ステキな本とステキなビールとステキな空間を堪能した後は、

近くに個人の趣味で発行する雑誌、いわゆる「ZINE」を置いているお店があるという情報を店主のキムラさんから仕入れていたこともあり、さっそく、そのお店「OF」に向かいます。

 

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普通のアパートの5階の一室にある「OF」

なかなか見つけることができず、周辺を不審者のようにウロウロしてしまいまったのは良い思い出です(笑)。

 

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そんな珍道中だったわけですが、今回「OF」を訪問した日は、2人の作家さんによる個展が開催されていました。

 

白を基調とした空間には、作家さんの各種作品が並んでいます。

店内は独特の空気感があって、とてもアートな雰囲気。

 

店主さんから作家さんの作品についてのお話を伺ったり、無料のZINEをいただいたりと、アートな雰囲気を満喫させていただきました。

 

 

 

「OF」でアートな空間を満喫した後は、杉原くんのお誘いもあって

多目的空間「晴れ間」でのお誕生日会に参加させていただきました。

 

 

はじめましての三田を、みなさん非常に暖かく迎えてくれたのがうれしかったです。

そのアットホーム感に感動しつつ、カニ鍋のご相伴にもあずかり

ビールに焼酎をどんどん飲みながら、心も体もたっぷり満たされた忘れられない一夜でした。

 

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(かに鍋)

 

今回の旅をコーディネートしてくれた杉原くん、唐突な訪問にも関わらず、きさくに話してくださった「月吼文庫」さん、「ながいひる」さん、「OF」さん、「晴れ間」のみなさん、素敵な時間を本当にありがとうございました。

 

 

 

(文/三田稔/ライター)

『大人の児童書目録 vol.7』【論語絵本】

こんにちは。

先日、朝ドラの「まんぷく」に出ている安藤サクラに

笑顔が似ていると言われ、

前髪を作ろうか悩んでます、たけはるです。

 

2019年、はやくも2月。

正月に今年の目標をいろいろ立てて、着々と進めています。

その中の一つにあるのが、「古典や名作の本を読む」。

 

本屋にはよく行くし、出版の仕事をしていますが

実は、古典とか不朽の名作みたいなものを知らなくて…。

新しい本もたくさんあるけど、昔から読み継がれてきた本は

きっと読み継がれる理由があるに違いない、ということで

新境地を開拓しています。

 

今日は、そんな古典初心者にもとっつきやすい

子ども向けの古典本です。

 

 

現代にも通じる、2500年前の教訓

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今回ご紹介するのは、森華 訳・絵の『論語絵本』です。

 

『論語』と言えば、今から2500年前の中国で

儒教を開いた思想家・孔子の言葉として

弟子たちによりまとめられたもの。

高校の倫理や古典の授業にも出てきた気がする、、

というレベルの記憶しかなかったのですが、

偶然、年賀状のデザインの参考として見ていた

イラストレーターの森華さんが作られていて、

しかも愛媛出身で、という思わぬ共通項もあり読んでみました。

 

 

『論語』は500章からなる、孔子と弟子たちの言行録。

500章なんて、まとめるのも大変ですよね。

『論語絵本』では、その中で

現代にも通じる内容 91章をセレクトして

かわいらしい挿絵とともに紹介されています。

 

故事成語としても有名な「温故知新」はもちろんのこと、

勉強や仕事、人付き合いなど、時代は変われど心に響く名言ばかり。

評判に左右されず自分の目で確かめる、

自分がされたくないことは人にもしない、

まず実行する、などなど…

ごく当たり前のことなのですが、どれも深くて

ハッと気づかされることがたくさんでした。

 

中でも、いいなと思ったのは下の言葉。

 

子曰く、これを知る者は、これを好む者に如かず。

これを好む者は、これを楽しむ者に如かず。

 

直訳すると、

知っていることは、好むことにかなわない。

好むことは、楽しむことにかなわない。

 

「好きこそものの上手なれ」ということわざがあるように、

何をするにも「楽しむ」ということが一番の原動力になり、

上達や成長の近道だと言っています。

今も昔も、何かを成し遂げることへの姿勢は変わらないんですね。

 

 

人生、やっぱり「楽しい」が一番!

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私事ですが、先日、スティールパンのバンドで

ライブデビューをさせていただきました。

愛媛に来るまで存在すら知らなかったのですが、

あの金属の冷たそうな見た目からは想像もつかないような、

きれいな音色が出るというギャップに

すっかり魅了されてしまい、勢いでメンバー入り。

 

初めは、1時間かけて練習に行かないといけないのがネックで

なかなか参加できていませんでした。

でも、通い始めるうちに、

できなかったことができるようになる面白さ、

みんなで合わせた時の感動がもう楽しくて、

今では毎週のように通っています(笑)

 

もちろん、ここまでできるようになったのは

毎回練習に付き合ってくださった

メンバーのみなさんのおかげなのですが!

「たけちゃん、たけちゃん」と親しくして下さり、

本当に嬉しい限りです。

 

 

まだまだやりたいことはたくさんありますが、

「楽しい」が一番ですね。

2019年にやりたいことはまだまだたくさんあるので、

どんどん動いていきますよ~!!

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回もお楽しみに。

 

 

(文/たけはる/某雑誌編集者)

『三行文庫Vol.13』【大人も楽しみたい×絵本】

ステキな3人が毎回「気分×テーマ」に沿った本を紹介。

ステキな3冊を3行でー

 

「三行文庫」

 

第2、第4水曜日更新。

 

 

どきどきはらはらする物語じゃなくても、

文章がよくわからなくても、

絵本のページはどこも輝いて見えた。

 

宝物のようにきらきらした色鮮やかなページと、

本当に意思を持っているかのように楽しそうに動くキャラクター達。

 

そしてまだよくわからなかった文章を

丁寧にゆっくりと読んでくれるお父さんお母さんの優しい声。

 

 

 

今回は童心に返るような気持ちで

「大人も楽しみたい×絵本」をテーマにご用意した三冊です。

 

今度は僕たちが読んであげる番かもしれないけれど、

大人だって絵本を楽しんでもいいんです!

 

一息つきたい時、童心に返って楽しんでみてください。

 

 

 

 

(1)神崎竜太(塾講師。学習支援団体「CHANCE」代表) 

えんとつ町のプペル

えんとつ町のプペル

 

 

〇 えんとつ町のプペル(著/にしの あきひろ)

(紹介/「BOOK」データベースより引用)

ペン一本で描いたモノクロ絵本で世界を圧倒したキンコン西野が、業界の常識を覆す完全分業制によるオールカラー絵本!

 

・分厚い煙に覆われたえんとつ町。今年のハロウィンで生まれたゴミ人間プペル。彼と彼の友達になったルビッチの物語。人々は空を見上げることを忘れ、夢を見るものをバカにする世界で、二人はそれを追いかける。

 

・ストーリーもいいんだけど、絵が壮大で、音楽もいいんだ。悲しくて楽しい。思わず口ずさんでしまう歌も合わせて聞きたい1冊。

 

・いま、この「えんとつ町のプペル」がネットとYouTubeで無料公開中です!ネットでは西野さんのコメントもついているのでぜひ見てみてください!「信じぬくんだ。たとえひとりになっても」。

 

 

 

 

(2)しのはらあきひと(読書会で三田が出会った方。高松市在住。現在自分探し中)

 

〇 ことばのかたち(著/おーなり由子)

 

ことばのかたち

ことばのかたち

 

 (内容/「BOOK」データベースより引用)

もしも話すことばが目に見えたら―――ことばの使い方は変わるだろうか? ベストセラー『幸福な質問』(新潮社)や「ハオハオ」「あめふりりんちゃん」などの作詞でも知られる、おーなり由子が、日々の言葉の向こう側にある風景を詩のように描く「ことばと絵の本」。この本を読んだ後、大人も子どもも、きっと言葉の使い方が変わります。

 

・言葉が絵になり形を持ったら、どんな風に見えるだろう。そんな内容の本です。

 

・心地よい水彩画にまっすぐなメッセージが心に届きます。中でも、愛という文字が真綿のような形で表現されていたのが印象に残っています。

 

・絵本は子供のものといわず、ぜひ大人に読んでほしいと思います。

 

 

 

 

(3)あかまつのりき(三松文庫店主。猫よりは犬派。ビーグルが一番好き)

 

〇 しろねこくろねこ(著/きくち ちき) 

しろねこくろねこ (絵本単品)

しろねこくろねこ (絵本単品)

 

 (内容/「BOOK」データベースより引用)

ささやかでいとおしい感情を、あふれだす色に乗せて描いた注目の作家・きくちちき、はじめての絵本。

 

・しろいねことくろいねこ。彼らの違いはなぁに?

 

・どっちが賢いとか、どっちが美しいとか、どっちが優れているとか。「みんな違ってみんないい」って一体どういうことだろう。子どもだけでなく大人にも読んで欲しいです。

 

・走り出すような疾走感のあるタッチと、それでいて温もりのある絵柄にも注目。きくちちきさんの絵本は絵画を見るような気分で楽しめる絵本です。

 

 

 

(編/「hontopia」編集部)

『せとうちアート探訪 vol.2』 異国を感じる広島アート旅

寒い寒いと言ってる間に、2月になってしまいました…!

遅ればせながら、今年もぼちぼち文章綴っていきたいと思います。よろしくお願い致します。

 

『せとうちアート探訪』第2回は、先日訪れた広島の美術館および、私的おすすめスポットをあれこれご紹介します~

 


パリにかけたポスターの魔法「サヴィニャック」(広島県立美術館)

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レイモン・サヴィニャック(1907-2002)
フランスを代表するポスター作家。《牛乳石鹸モンサヴォン》(1948/50年)に代表されるように陽気でシンプルな彼の作品は、それまでの伝統だった装飾的な要素を排したことでポスターの様式を一新しました。身近な食料品や日用品からシトロエンやダンロップ、ティファールなど実に多様な広告を担ってきたサヴィニャックのポスターは、パリにとどまらず世界中の人々に今日もなお愛され続けています。

 

 

‟おしゃれなカフェで時々見る、チョコを食べている男の子のポスター“
正直それくらいのイメージしか持っていなかったサヴィニャック。

しかし今回、約200点のポスターや原画・資料を見て、「サヴィニャックの魔法」にすっかり魅了されてしまいました。

 


可愛いだけじゃないユーモアとエスプリ

『「どのようにメッセージを届けるか」という永遠の課題に対して彼が出した答えは、商品に人や動物のモチーフを組み合わせ、明快な造形と色彩によって視覚的なインパクトを与えることでした。』

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このイラストのタイトルは《ひとりでに編める ウット毛糸》
サヴィニャックのポスターでは、商品を擬人化させそのものの魅力や使い方を伝えるような作品が多数あります。

 

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こちらは《マギー・チキン・ブイヨン》のポスター
原材料が何なのか、可愛くわかりやすく伝わってきます(笑)
このような、大きいものでは幅4メートルにもなる大型ポスターもいくつか飾ってあり、とても見ごたえがありました。


ポスターはただのアート作品ではなく、物事の情報を的確に伝えるための広告手段です。合わせて、それを見ただけで興味を持ち、実際に購入したい、体験したいと思わせなければなりません。
モチーフ、配色、文字のデザイン、全体のバランス……たった1枚のビジュアルで瞬時に人の心を射抜く彼のスタイルは、フランス・日本だけでなく世界中から愛されてきたことが良くわかりました。

 

私も仕事や趣味でイベントのフライヤーなどを作成する機会が何度かあり、毎回あれやこれやと悩むのですが…。サヴィニャックのユーモアとエスプリ、なかなか真似は出来ないですが、アイデアを考える上でのヒントも貰えたように思います。

 

 

また今回の展示では、サヴィニャックの作品を年代順ではなく、「動物たち」「働く人」「製品に命を吹き込む」「子どもたち」「指差すひと」といった10のモチーフやアイデアで分類して紹介されています。

違う商品や企業のポスターでも、似たような構図の作品を見比べたり、配色のこだわりに気づけたりと、サヴィニャックの制作意図が伝わる展示となっていました。

 


街を彩るアート

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日本の駅のホームやビルの上にあるような広告看板と言えば、芸能人や商品の写真を使ったものがほとんどです。
しかしサヴィニャックのイラストのポスターが街角に並ぶと、それだけで街がギャラリーになります。
道行く人々の心を躍らせ、パリの街を彩ったサヴィニャックのポスター。

今回、展示会場の外、入口の自動扉やエスカレーター、エレベーターの中など様々な所にサヴィニャックのイラストパネルが飾られており、それらを探しながら美術館を歩き回るのもとても楽しかったです。

 

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東京、栃木、三重、兵庫と巡回してきたサヴィニャック展、広島がラストの会場となります。

今週末は広島県立美術館に足を運び、サヴィニャックの魔法の力を体感してみてはいかがでしょうか。

www.hpam.jp

 

 

 

世界各地の地表を切り撮る「松江泰治 地名事典」(広島市現代美術館)

広島に行くならぜひ訪れてみてほしい美術館がもう一つ。
比治山の山頂にある「広島市現代美術館(MOCA)」です。
広島市現代美術館は、1989年公立館としては国内初の現代美術を専門とする美術館としてオープンし、今年で開館30周年になります。

 

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まず何といっても、美術館の建物そのものがかっこいい。建築設計は黒川紀章氏

美術館外にも彫刻作品が多数展示されており、配布されている「野外彫刻マップ」を見ながら、周囲を散策するのもおすすめです。

 


現在2月24日(日)まで開催されている特別展は「松江泰治展」

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松江泰治(1963- )
東京大学理学部地理学科卒業後、写真作家としてデビューします。以降、地平線のない構図、平面性への強いこだわり、被写体に影が生じない順光での撮影という一貫したスタイルで世界中の土地を撮影してきました。作品では、中心性、周縁、奥行、コントラストが徹底して排除され、あらゆる要素が等価に扱われたフラットな画面として提示されます。

 

世界各地の土地の表面、いわゆる「地表」を被写体としている松江さんの作品。
写真の技術的な面はあまりわからないのですが、大きなパノラマ写真でも、端から端まで画面全てにピントが合っているような、あたかもその光景を今自分も見ているような不思議な感覚になりました。

刻々と変わっていく自然の姿、そこで暮らす人々の営み、目に見えるすべてを残しておきたい、そのような強い思いを感じました。

 

写真とはただの記録なのか、それとも何かを伝えるための手段なのか、アートとしての作品なのか。同会場で松江さんと森山大道さんとの対談も行われたそうで、そちらもお聞きしたかったです。
松江さんの視点で切り取った世界各地の地表と、その「地名事典」
素晴らしい美術館建築と共に、ぜひご覧になってください。

www.hiroshima-moca.jp

 

 

 


みずみずしい光の食卓「ULALA IMAI gathering」(READAN DEAT)

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せっかくなので、美術館以外にも。
原爆ドームからほど近い本川町にある、本と器を扱うお店「READAN DEAT」
ギャラリーも併設されており、様々な企画展やイベントも定期的に行われています。
本と器とギャラリースペースでワンフロアを使われているのですが、そのバランスがとても良くて、憧れのお店です。

 

訪れた際ちょうど開催されていたのが画家・今井麗さんの個展でした。
トーストの絵は、植本一子さんの著書「かなわない」の表紙になっており見覚えのある方もいらっしゃるかと思います。今回は今井さん初となる作品集「gathering」の出版を記念した展覧会ということで、計7点の油絵の作品が展示されていました。

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そうなんです、今井さんの作品はすべて油絵。この食べ物のみずみずしさが油絵で表現できるなんて驚きました。
誰かの食卓をのぞき見しているような、いや、自分が撮った写真を見ているような。
目に前にあるものをリアルに描いているのに、どこか遠くノスタルジックな感じもする今井さんの作品。


「内側から光を放つことをイメージして、素早く、絵の具が乾かないうちに、描き切る。」
今井さんが描いているのは、食べ物やモチーフそのものの放つ光なのだと感じました。


READAN DEATさんでの展示は1月で終わってしまったのですが、また今後の今井さんの作品もとても楽しみです。

readan-deat.com

 

 

 

広島に来たなら、市内で一泊しちゃいます?
…ということで(?)アート、本、コーヒー、そして子どもと犬好きにはたまらない個人的おすすめのゲストハウスもご紹介します。

ニューヨークの街角 36Hostel

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ニューヨークというかブルックリンというか、突如現れるおしゃれな外観の建物。
建物全体がホステルとなっており、その1階真ん中部分はブックカフェになっています。

 

ホステルのエントランス及び共有スペースにもたくさんの本が置いてあり、写真集や建築に関するビジュアル本、小説文庫本も。私好みの本が多すぎて、深夜にちょっと居座ってしまいました(笑)
おしゃれなだけでなく、アットホームな雰囲気で居心地も良かったです。

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そして翌朝、1階のブックカフェに訪れると、オーナー夫婦の息子さん3歳のハル君と、看板犬のオットが出迎えてくれました。とにかくこのコンビが可愛すぎて。。言葉では言い表せないので、ぜひ癒されに行ってみてください。
オーナーさんも気さくな方で、ホステルを始めた経緯、広島の本屋さん事情など、色々なお話を聞かせてくださいました。
カフェ利用だけでもおすすめです。

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36hostel.com

 



その他にも広島市内でおすすめのお店を少し…


雑誌を多く扱う古民家を改装した古本屋「nice nonsense books」

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北欧雑貨のお店「Piröleikki ピロレイッキ」

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創業70年、広島で一番古いまるで教会のような喫茶店「中村屋」

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原爆ドームや宮島だけじゃない、何度でも訪れたくなる広島。
今回も、旅記録&個人的おすすめスポットを長々と書き連ねてしまいました…。

ここまでお読みいただきありがとうございます。何か気になる場所やアーティストとの出会いがあれば嬉しく思います。次回はどこへ行こうかな。

 

 

(文/たけうちひとみ/愛媛県在住。本にまつわるイベントやアートイベント、子どものための舞台上演のお手伝いなどしています)

 

三松文庫放浪記~海が人を繋ぐ街「宇野」編~

こんばんは!
三松文庫あかまつです。


前回のタビサキの記事は見ていただけましたか?

hontopia.hatenablog.jp

三松文庫の今年一発目のイベントなのでぜひ遊びにきてくださいね^^


さて、宇野でイベントをする前に「宇野の魅力を僕たち三松文庫が知らなければならないのでは?」ということで宇野の魅力を発見するために、今回のイベントの主催者の杉原くんに宇野を案内してもらって来ました。
本日も三松文庫放浪記を通して、ゆるりと宇野の魅力をお楽しみください。

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